2011 Fiscal Year Annual Research Report
被災文化財の活用と文化財防災ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
21601015
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Research Institution | 新潟県立歴史博物館 |
Principal Investigator |
田邊 幹 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (50373478)
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Keywords | 防災 / 文化財 / ネットワーク |
Research Abstract |
当研究は、近年頻発している自然災害に対し、代表者が経験した中越大震災・中越沖地震の2回の災害の経験を中心に、被災した文化財の救出・避難事業をより迅速に効果的に行う方法・組織のあり方を検討するものである。 本年は災害発生時(あまり広域的な災害は想定せず)に、市町村の枠を越えて文化財レスキューを行う組織・行政機関の連携のモデルとその運用を検討した。また、より迅速で効果的な活動に活用できるGPSシステムとその運用方法を検討した。このGPSシステムの特長は、震災発生から文化財レスキューに赴くまでの数日間の間に、資料の所在情報や災害情報、施設の情報などの入力が可能なこと、GPSを利用しているため土地勘のない者でも所在情報の入力が容易なこと、情報が一元管理できるため避難などの作業計画が立案しやすいことが挙げられる。ただし、より効果的に被災文化財レスキューを行うためには近隣の行政を中心にした連携を日常から進め、被災文化財レスキュー事業自体を行政の防災計画に織り込むことが非常に重要である。 また、東日本大震災に際し、資材等の提供を通じて被災地の文化財レスキュー団体の動向を調査した。その結果、文化財レスキュー事業が平時から事業化されていないことが最大の問題点であり、他の自治体の救援依頼を出しにくい原因であることが分かった。本来、被災した自治体が文化財のレスキューを行う意向がなければ連携市町村・ボランティア団体等も当該自治体で文化財のレスキュー作業を始めることができない。文化財レスキュー事業を自治体の防災計画に盛り込むための理論を構築することが次の課題を言える。
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Research Products
(3 results)