2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム複合体1による造血幹細胞の活性制御機構の解析
Project/Area Number |
21602004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 素秋 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10211799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50336111)
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Keywords | 再生医学 / 発生・分化 / 造血幹細胞 / ポリコーム複合体 / Geminin / DNA複製制御 |
Research Abstract |
ボリコーム(PcG)複合体1が造血幹細胞の活性を支持する分子機構を明らかにする目的で、PcG複合体1の構成員であり、PcG複合体1によるGemininのユビキチン化に必須なScmh1の遺伝子欠損マウスを材料として、造血幹細胞の解析を行った。Scmh1の遺伝子欠損マウスでは、PcG複合体1のE3ユビキチンガーゼ活性の標的であるGemininが安定化せず、PcG複合体1の他の構成員であるRae28の遺伝子欠損マウスで見られた造血幹細胞の活性低下は認められなかった。そこで、Scmh1の遺伝子欠損により引き起こされる、PcG複合体1以外のGemininの安定制御に関わる遺伝子の発現増強を予想して発現解析を行ったところ、PcG複合体1により転写抑制される遺伝子のうちHoxb4とHoxa9遺伝子のmRNAレベルでの顕著な発現増強が認められた。Hoxb4とHoxa9タンパク質はそれぞれCul4a-Ddb1-Roc1を含むE3ユビキチンリガーゼを構成し、Gemininのユビキチン化を促進して分解を引き起こすことでPcG複合体1のE3ユビキチンリガーゼ活性の欠損を補償して、造血幹細胞の活性低下を回避できた。また、PcG複合体1によるHoxb4とHoxa9遺伝子の発現制御はCHIPアッセイの結果から直接的である可能性が高い。以上の結果がら、PcG複恰体1によるGemininの安定性制御にはPcG複合体1のE3ユビキチンリガーゼによるものと、Hoxb4とHoxa9遺伝子の転写を介した制御の少なくとも2つが存在することが新たに分かった。造血幹細胞の活性支持のおける2つの経路の役割について今後明らかにする。 Scmh1の細胞内局在の制御機構を明らかにする目的でScmh1の各種欠失恋異を細胞内で発現させて、DNA複製ストレス下でのPcG小体への限局に異常がないか調べたところ、PESTドメインと核移行シグナルを含む領域の欠失によりScmh1の細胞質での安定化とPcG小体への局在の阻害が認められた。この領域はストレス下でリン酸化されることからリン酸化による制御の重要性が示唆された。Scmh1キナーゼびそのシグナル経路を今後明らかにして、得られた知見をもとにPcG複合体1の活性を操作する手段の開発を探る。
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Research Products
(3 results)