2009 Fiscal Year Annual Research Report
基質認識特性に立脚した新規アミラーゼ阻害剤の分子設計
Project/Area Number |
21603001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 潤 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (60142197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 英介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40466446)
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Keywords | α-アミラーゼ / 酵素阻害剤 / 糖尿病 / 分子設計 |
Research Abstract |
消化管α-アミラーゼの阻害は肥満、糖尿病抑制に効果的である。実用的な低分子阻害剤が知られていないα-アミラーゼについて、酵素の独特の基質認識機構、すなわちα-アミラーゼが触媒部位であるグルコシド結合だけではなく、そこから上流部と下流部に連なるグルコースの連鎖を認識するサブサイト部位をもっていることに着目し、酵素阻害につながる反応部位と基質認識を向上させるサブサイト結合部位の両方を適当なリンカーで結んだ分子を設計し、活性評価を行った。 まずα-アミラーゼの触媒活性阻害ユニットとして、既存のグルコシダーゼ阻害剤デオキシノジリマイシン(D)をもち、その上流側にリンカー(L)を介してサブサイト認識グルコース(G)を配したGLD型分子として、L部にC6,C9,C12,C15の炭化水素鎖をもつ各化合物を合成した。カップリングに用いる4位のみ遊離OHをもつD保護体はグルコースから既報の改良によって11段階総収率3%で合成することができた。GL部は各鎖長のω-ヨードアルコールを常法のα-グルコシル化反応によってG保護体に結合し、ヨードアルキルグルコシド保護体とした。GL保護体のリンカー末端とD保護体4位のカップリングは、立体障害のために反応性が低く種々条件検討を必要としたが、最終的にTHF中NaHによるエーテル形成条件によっておだやかに進行することがわかった。最後にすべての保護基を除去して目的のGLDを得ることができた。 合成した各鎖長のリンカー部をもつGLD化合物について、酵素源に市販のブタ膵臓アミラーゼ、基質にジニトロフェニルマルトオリゴ糖を用いた阻害活性試験を行った結果、すべての化合物に中程度の活性(1mMで13-35%)が見られ、なかでもC12リンカー体が最大の活性を示すことがわかった。リンカー鎖長による活性の差異は、触媒部位と認識サブサイトとの距離の適否によるものと考えられた。
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