2011 Fiscal Year Annual Research Report
天然毒貯蔵生物における自己耐性機構-下痢生貝毒オカダ酸結合タンパク質の構造と機能
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21603003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
此木 敬一 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40292825)
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Keywords | オカダ酸 / オカダ酸結合タンパク質 / 自己耐性機構 / ELISA / LC-MS/ |
Research Abstract |
目的:クロイソカイメンという潮間帯に生息する軟体動物には、人類に対して下痢原性を示すオカダ酸が含まれている。オカダ酸(OA)はリン酸化されたタンパク質を加水分解する特殊な酵素(PP1、PP2A)の阻害剤として基礎研究で頻用される試薬であるが、クロイソカイメン中での機能はわかっていない。本研究では私達がクロイソカイメン抽出液から精製しOABP1、OABP2と名付けたOA酸結合タンパク質を利用し、自然界におけるOAの機能を解明することを目的とする。 結果およびその意義:(1)プロテインAの固定化されたアフィニティーカラムで抗OABP2.1血清を精製し、これを用いてELISAによるOABP2.1の定量を試みた。しかし、実験結果の再現性が得られなかったため、同精製抗血清を用いて、ELISA同様、多検体処理が可能なドットプロッティング法を試みた。その結果、異なる季節や場所で収集されたクロイソカイメンに含まれるOAおよびOABP2.1の重量関係に明確な相関が認められないことがわかり、クロイソカイメン内でOAが局在する事が示唆された。(2)細かく、刻んだクロイソカイメン組織をEDTA存在下で解離させると、同生物の細胞の他、共生生物の細胞が遊離した。これらの細胞を異なるサイズのナイロンメッシュを用いて分離し、各サイズ画分に含まれるOABP2.1およびOA量を定量した。その結果、OABP2.1はクロイソ・カイメン細胞に発現するタンパク質である事、また、OAは10um以下の細胞に含まれている事が判明した。
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