2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の運動・光屈性を制御する鍵化学物質の活性発現機構の解明
Project/Area Number |
21603005
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
繁森 英幸 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70202108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 小須弥 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (70292521)
|
Keywords | 光屈性 / Bruinsma-Haseawa説 / Cholodny-Went説 / ダイコン / シロイヌナズナ / Raphanusanin / 遺伝子ライブラリー / 生体防御 |
Research Abstract |
植物の光屈性のメカニズムとして、Cholodny-Went説が良く知られており、光側と影側でオーキシンの横移動が起こり、光屈性が誘起されるとしている。一方で、光屈性はオーキシンではなく、光誘導性成長抑制物質が光側で生成され、光側の成長が抑制されることによって引き起こされるという、Bruinsma-Hasegawa説が新たに提唱された。研究代表者らはこれまでにダイコン下胚軸の光屈性制御物質として、4-MTBIおよびRaphanusanin(Ra)を見い出し、これらの物質はいずれも光屈性刺激によって光側組織において短時間で増量し、影側や暗所下では増量しないことを明らかにした。そこで本研究では、プログラム化された細胞死(PCD)経路でR遺伝子によって引き起こされる抵抗性に関係するシロイヌナズナ遺伝子を用いて、Raによって誘導された遺伝子ライブラリーを調べた結果、55%が相応する34個の遺伝子が抵抗性に関係する遺伝子と関係していることを明らかにした。また、Raによって誘導された88個の独立した遺伝子の内の50個の遺伝子の中で、44個の遺伝子が増加し、4個は減少することがわかった。さらに、25個のESTが青色光の強さと照射時間によって制御されることを見出し、転写プロフィール(初期の青色光の転写調節と結びつく)によって、青色光によって誘導される生体防御遺伝子の機能を明らかにした。 この研究は、Raに応答する転写調節因子に関する最初の報告である。本研究結果は、Raと青色光による生体防御との関係を示し、それによって、Raがどのように生体防御に関係しているかを示すことによって、Bruinsma-Hasegawa説に基づく光屈性メカニズムの解明に貢献した。
|
Research Products
(3 results)