2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性天然物由来プローブ分子による新規抗がんおよび抗HIV標的蛋白の解明
Project/Area Number |
21603009
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
村上 啓寿 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 研究員 (00210013)
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Keywords | プローブ分子 / 抗HIV / 抗がん / 天然物 / 標的蛋白 |
Research Abstract |
がん細胞増殖に関与するMEKやエイズウイルス(HIV)の複製に関与するRev蛋白は、約10残基のアミノ酸配列からなる核外移行シグナル(NES)を有し、核から細胞質へと輸送され、その機能を発現する。これら蛋白の核外移行過程を阻害する分子は新規作用機序の抗がん剤や抗HIV薬の開発に繋がることに着目し、すでに申請者は、薬用植物から両蛋白の核外移行阻害天然物として、peumusolide Aならびにostholを見出している。そこで、本研究では、申請者自らが見出した両蛋白の核外移行阻害天然物の作用機序を明らかにすることを目的として、合成プローブ分子を用いて両活性天然物の標的蛋白の解明に着手した。 本年度は、標的蛋白との共有結合を形成させる光親和性基であるジアジリン基と標的蛋白-プローブ複合体の精製、検出に用いるビオチンを組み入れたジアジリンービオチンユニットが導入可能な水酸基を有する基本コアとなり、かつ強力な活性を示すアナログの合成を検討した。MEK核外移行阻害物質peumusolide Aについては、既に申請者が開発したアナログの合成手法を利用して、側鎖末端に水酸基を有するアナログの合成を達成した。また、Rev蛋白核外移行阻害天然物ostholについては、第2世代のGrubs触媒を用いた閉環メタセシスを鍵反応とするmethoxyl基を水酸基に置換したアナログの実用的な合成法を確立することができた。 さらに、合成した両アナログについて、間接蛍光抗体法によりMEKおよびRevの核外移行阻害能を評価し、両者が標的蛋白解明のためのプローブ分子のコア構造になる十分な活性を示すことを明らかにした。
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