Research Abstract |
愛媛県は,海面養殖業が盛んであり,特にヒラメ,ブリ,カンパチなどでは全国でも上位3県を継続的に占めている.魚病菌感染による稚魚および成魚の致死が問題であるが,ワクチンの開発によって対処がなされてきた.近年,ヒラメのレンサ球菌の内,S. parauberisの感染では有効なワクチンが無く大きな問題である.しかしながら,同じレンサ球菌のS. inieに感染している魚ではS. parauberisは感染せず,S. inieワクチンの接種後にS. parauberisが発症することを見いだした. S. inieおよびS. parauberisをヒラメより分離し,実験室内での培養を行った.継体培養を続けたところ,一ヶ月ほどで性状の変化が観察され,PCR試験の結果,大きな変異が生じている事が確認できた.この知見を元に生体由来株を中心に培養を試みている.また,阻止円を指標とした試験を実施した結果,S. inieの有機溶剤抽出液に,S. parauberisに対する成長阻害活性が確認できた.培養液に含まれる成長阻害活性物質は微量であるため,現在大量培養を試みている. また,水深200mより採集した愛媛県産の海綿動物を中心に,S. inie,S. parauberisに対する抗菌活性物質の探索を試みたところ,含臭素アルカロイドに抗菌活性が確認できた.比較的低分子であることから,誘導体を含め数種を人工合成し,その構造と活性を確認することができている.また,このカイメン抽出液には新規な構造を有する物質を確認できたことから,更なる微量成分の探索研究分析を進めている.
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