Research Abstract |
愛媛県は,海面養殖業が盛んであり,特にヒラメ,ブリ,カンパチなどでは全国でも上位3県を継続的に占めている.魚病菌感染による稚魚および成魚の致死が問題であるが,ワクチンの開発によって対処がなされてきた.近年,ヒラメのレンサ球菌の内,S.parauberisの感染では有効なワクチンが無く大きな問題である.しかしながら,同じレンサ球菌のS.inieに感染している魚ではS.parauberisは感染せず,S.inieワクチンの接種後にS.parauberisが発症することを見いだした. S.inie培養液の有機溶剤による抽出物は,S.parauberisに対して抗菌活性を示した.これにより,低分子化合物に活性が推定されたことから,活性物質の分離を目指して大量培養を実施した.PCR分析を各回にて実施し,変異の有無を確認しながら行った.しかしながら,培養を継続することで抗菌活性の低下がみられた.この活性の低下については,連携研究者により,血清の投与により押さえられることが強く示唆された. また,未利用資源を対象とした分析を実施し,新規のイミダゾール型アルカロイドを発見,報告することができた.これ以外にも複数の含臭素アルカロイド(cylindradine,phakellin類縁体)を分離できたことから,それら一連のピロール型アルカロイドの生合成経路についても推定している.また,今回分離し,構造の推定を行った化合物の相対立体化学は,核磁気共鳴装置の測定結果から導かれる空間情報と分子力場計算による安定配座解析により推定することができた.これ以外にも,複数のアルカロイド類および細胞毒性を示す化合物群を確認している.
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