2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ由来アルカロイドの抗炎症活性、抗癌活性の発現機構の解明
Project/Area Number |
21603012
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
浪越 通夫 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (30189196)
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Keywords | ホヤ / アルカロイド / 抗癌活性 / 抗炎症活性 / 生物活性発現機構 / TNF-α / NF-κB / α-カルボリン |
Research Abstract |
ニシキボヤ由来のN,N-didesmethylgrossularine-1(DDMG-1)は非常に珍しいα-カルボリン骨格をもち、リポ多糖で産生刺激したマウスマクロファージ様細胞株(RAW264.7)によるTNF-αの異常生成を抑制する。この抑制はTNF-αのmRNAレベルで起こり、さらにIκ-Bαの分解とNF-κBの標的DNAへの結合も阻害されることが分かった。また、DDMG-1はリポ多糖で産生刺激したヒト細胞株CD14^+-THP-1によるIL-8の産生も抑制した。この実験系においては、ヒトTNF-αとIL-6の産生も抑制された。このような、DDMG-1による炎症性サイトカインの異常産生抑制活性の詳細なメカニズムを、引き続き明らかにする努力をしている。また、そのための同族体の化学合成とホヤ類からの探索も行っている。 群体ボヤLissoclinum cf. badiumから単離した新規化合物Lissoclibadins 1~14(Lb1~Lb14)は、抗菌、抗カビ、培養癌細胞の増殖抑制などの活性を示す。その活性は化合物によって異なり、1つの活性のみを示すものから2、3種類の活性を併せもつものまであり、その強度もまちまちである。この中で、Lb1,Lb8,Lb14はヒト固形癌細胞の増殖を比較的強く抑制し、また、Lb1はヒト大腸癌を移植したヌードマウスを用いた動物実験で抗癌活性を示した。この活性はアポトーシスの誘導によることが分かった。Lb8~Lb14の構造は確定していなかったため、生物活性試験と同時に構造決定も行い、コンピューターによるコンフォメーション解析を含めて全立体構造を決定した。単離したLb1~Lb14および化学反応により調整した誘導体を用いて、アポトーシスのメカニズムの解明を行っている。
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