2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21604005
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
持地 広造 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40347521)
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Keywords | 表面分析 / 二次イオン質量分析 / クラスターイオン |
Research Abstract |
(1) キャピラリーによる収束効果の評価:クラスターイオンビームをガラス管(入口、出口径ともに800μm)に通過させたときの出射イオン電流を測定した。つぎに、キャピラリー(出口径:70μm)を通過させたときの出射イオン電流を測定し、これらの出射イオン電流値およびキャピラリー出口の面積比よりキャピラリーの収束率(σ)を求めた結果、σ=5~17であった。収束率がばらついている原因は、出射電流が経過時間とともに変動するためであった。この出射イオン電流の変動は、入射イオンがガラス管内壁に衝突して蓄積される電荷密度の影響、すなわち帯電効果によるものと推定される。 (2) キャピラリーからの出射イオンビームを可視化するため、イオン検出器のマイクロチャネルプレートの後方に蛍光物質を塗ったガラス基板を設置した。イオンがマイクロチャネルプレートに衝突して発生する二次電子が加速されて蛍光物質に当たり発光することで、イオンビームの位置と形状を観測することが可能になった。本可視化技術を利用して、上記の出射イオン電流の変動を詳しく追跡した。この結果、入射イオン電流が低い場合(1 nA以下)には出射イオン電流は安定しているが、高くなると(1 nA→10 nA)、出射イオン電流は不安定になり、低電流値と高電流値の間を振動した。入射イオン電流が高い場合には、ガラス管内壁の充電と放電を繰り返しながらイオンが出射されているものと解釈される。今回得られた結果は、ガラスキャピラリーによるイオンビームの収束機構をより明確にしていくうえで極めて重要な知見となるものである。
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