2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21604008
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
神門 正城 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, リーダー (50343942)
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Keywords | 高強度レーザー / レーザープラズマ相互作用 / ソリトン / 赤外光 |
Research Abstract |
本研究では、高強度レーザーをプラズマ中に集光させ、ガス中に集光することで、光電離によるプラズマを生成し、高強度レーザーとプラズマを相互作用させる。この相互作用は、高強度レーザーの持つポンデロモーティブ力によりプラズマ中の電子を押しのけ、航跡波を励起したり、エネルギーを失うことによりレーザー周波数が赤方偏移したり、自己収束による集光強度の増大など多くの現象が引き起こされる複雑な様相を呈する。我々は、この相互作用のうち、高強度レーザーのポンデロモーティブ力による電子空洞部の生成と赤方偏移したレーザーがこの空洞部に捕捉されるというソリトンモデルを実験的に調べることを目的としている。今年度は次に述べる3つの成果を得た。(1)上記ソリトン放射のスペクトルを調べるための干渉計を組みあげ、動作試験を行った。(2)高強度レーザーとヘリウムガスの実験を行い、元のレーザー周波数よりも短波長化した高調波のようなスペクトルを計測した。この放射はこれまでに知られておらず、粒子シミュレーションでは高強度レーザーが作り出す電子空洞部の壁面(電子が集群している部分)とレーザーの船首波が交差する部分の高電子密度部とレーザーが相互作用し、コヒーレントな放射を行っていることを示唆している。現在、観測を行っているのはレーザーの進行方向のみであるが、大角度ではレーザー進行方向に亜光速で進む高電子密度部とレーザーの相互作用で赤方偏移した成分も観測される可能性がある。これらは当初考えていなかったモデルによる放射機構であり、分離する方法を考慮しなければならない。(3)高強度レーザーの応用として、航跡波を励起し電子をPeVまで加速することで拓かれる超高強度場物理に関して考察を行い、現在宇宙線を用いてしか行えない、高エネルギーでの相対論の破れに関する実験のモデルを提案した。
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