2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21604014
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
武藤 豪 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (90249904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪野 隆 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (10301722)
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Keywords | 中性子 / 核偏極 |
Research Abstract |
本研究の目的は、入射中性子スピンと散乱試料中の原子核スピンのスピンを制御することによって、核スピンに依存した新たな中性子実験の開拓に必要となる試料中原子核の核スピン制御技術確立のための、核スピン偏極の移行・拡散に関する基礎研究であり、マイクロ波誘導型光核偏極法で得られたホスト結晶中の原子核偏極について、試料中の原子核への核スピン偏極の移行・拡散(伝播)を調べることにある。核スピン偏極の拡散の計測方法として、印加する磁場に勾配磁場を加え、試料位置とNMRの共鳴周波数との間に依存性を持たせることにより、試料位置中でのNMR信号の強度から偏極の度合いを観測するものである。 本年度は主に昨年度に引き続き既存の試料陽子偏極装置を本測定に使用できるようにするための幾つかの改良を行った。その1点目は昨年度、設計を行ったESRのためのマイクロ波系の改善である。昨年度実施した発信系の改良に引き続き、検波系の改良を行い、ESR信号検出の効率化を図った。これによりキャビティの改良に伴い厳しくなっていたESR信号の観測条件が改善された。2点目は試料及びその周辺における環境測定の強化である。偏極状態は緩和時間に関わる試料温度に大きく依存するため、その変化をより正確に記録できるように、温度計測系の強化を図った。これらに加えてMR計測の高速化を行うための計測システムの見直しを行った。偏極の生成はESRにより行われ、偏極の確認はNMR計測によって行うが核スピン偏極の移行・拡散の測定のためには同一条件で行う必要があるが、マイクロ波キャビティなどの改良に伴い従来システムでは効率よく行えなくなったため、その解消を目指して行った。これら一連の改良により本測定の効率的な実施が行えるものと期待される。
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