2010 Fiscal Year Annual Research Report
高速クラスターイオン照射による非線形的2次イオン強度増大効果の解明
Project/Area Number |
21604016
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平田 浩一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (80357855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 勇一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高崎量子応用研究所, 副主任研究員 (40360424)
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Keywords | 量子ビーム / 2次イオン |
Research Abstract |
平成22年度は、クラスターイオン照射と重イオン照射による2次イオン生成強度比較実験を行うとともにクラスタービームパルス化装置の実験、負2次イオン電流を直接測定する装置の作成を行った。2次イオン生成強度測定に関しては、昨年から実施しているC_8イオンおよびMoイオンに加え、C_4イオンおよびC_4とほぼ同じ質を持つTiイオンをPMMA、ポリスチレン等の有機系高分子薄膜ターゲットを中心に照射し、各ターゲットから放出される特徴的な2次イオン種強度を測定した。C_8とMo、および、C_4とTiは、それぞれほぼ同じ質量であるが、同じエネルギーで照射した場合に得られる2次イオン強度はクラスター照射の方が高く、分析に有用であること示すデータを得た。また、有機系材料へのクラスターイオン照射では、クラスター1インパクト当たりに多数の2次イオンが放出されるため、TACを用いた従来の2次イオン計数方法では正確なスペクトルを得ることができないことがわかった。このため、この様な状況下でも正確なスペクトルを得ることができる計数システムを構築した。パルス化装置に関しては、タンデム加速器の低エネルギー側でパルス化予備実験を行い、電極とスリット間の距離を調整することによりパルス幅が短くなる見通しが得られた。この結果、最適化前ではあるが、ほぼ等しい分解能ではあったが、ビーム強度を1.5倍程度向上させることに成功した。負2次イオン電流測定する装置に関しては、負2次粒子から負2次イオンを選別するため、磁場により2次電子を除去する機構を作成し、負2次イオン電流を直接測定できるようにした。本年度は、2次イオン生成に関する基礎データの一部を採取することができた他、パルス化装置、負2次イオン電流直接測定装置等、今後、詳細な2次イオン生成強度測定を行うための重要な測定基盤の整備を行うことができた。さらに、2次イオン生成に関する知見を論文として発表した。
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