2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成される有機/無機ナノコンポジット無色透明導電材料の講究
Project/Area Number |
21605003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 勝義 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (50192737)
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Keywords | 透明導電材料 / 有機導体 / ナノ材料 / ディスプレイ / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
本研究は、近年資源枯渇による需給バランスの崩れが懸念される透明導電材料に関する内容である。従来、液晶テレビやタッチパネルの電極としてインジウム酸化物系のセラミクスが利用されてきたが、インジウムの需給逼迫が懸念されている。このような中、研究代表者は、導電性ポリマーであるポリカルバゾール膜に金属を接触させると、膜が無色透明化し、しかも伝導性を有することを見出した(以降得られた膜をハイブリッド膜と称する)。本研究は、上記発見の反応機構検討と機構論に基づく最適材料の探索を目的とする。平成21年度は、研究計画調書に沿った検討を行い、ハイブリッド膜のXPS元素分析、EDXによる微小領域元素分析、TEMによる高倍率観察、電気化学測定による膜内伝導パスの形成形態、電気伝導度測定による伝導物性の検討、そしてハイブリッド反応の理論的考察による化学量論の検討を行った。その結果、ハイブリッド膜形成には2つの重要な化学反応が関与していることが判明した。1つは金属腐食反応、もうひとつは導電性ポリマーの脱ドープ反応である。すなわち、仕事関数差の大きなポリカルバゾールと金属を接触すると、金属からポリカルバゾールへの電子移動が生じ、移動電子はポリマーの脱ドープ反応を引き起こす。一方金属はイオンとなり、ポリカルバゾール膜中に浸透拡散する過程で酸化・水酸化物、及び金属塩へと物質変換される。しかも興味深いことに、これら金属化合物はナノサイズの粒子となって膜中にほぼ均一に分散されることがわかった。さらに、このモデルに基づき、ハイブリッド膜中での金属酸化・水酸化物、金属塩、ポリカルバゾールユニットの化学量論比を決定することができ、ハイブリッド膜のキャラクタリゼーションを行うことができた。そして、その成果は米国化学会誌への論文報告として結実した。
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