2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成される有機/無機ナノコンポジット無色透明導電材料の講究
Project/Area Number |
21605003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 勝義 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (50192737)
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Keywords | 透明導電材料 / 有機導体 / ナノ材料 / ディスプレイ / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
23年度交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に従い、透明導電性材料の前駆体としてカルバゾール誘導体を選択・合成し、重合物の形成とその分子構造同定、および金属とのハイブリッド化反応による透明導電材料形成を行った。カルバゾール誘導体としては、数種のN-アルキル誘導体を合成した。これらの前駆体は、過塩素酸第二鉄によって酸化されて緑色の重合物となり、またそれら重合物も溶媒に可溶であった。従って、前年度までの電解重合は不要となり、均一系液相反応だけで重合物を得ることができた。可溶性の重合物が得られたことにより、その構造分析が可能となり、NMR、FT-IR、LDI-TOFMAS、UV-vis等の測定結果から、その主成分はアルキルカルバゾール2量体であり、一部が酸化されて、過塩素酸イオンがドーピングされたカチオンラジカルとなっていることが判明した(ビカルバジルとビカルバジリウム)。 また、このようにして作製したアルキルカルバゾール重合物の緑色溶液に、アルミニウムおよび錫金属を投入したところ、首尾良くハイブリッド化が進行し、脱色した透明導電性インクを形成することができた。そして、これらのインクをガラス基板上に塗布し、透明導電膜を形成した。透過スペクトルの測定結果から、透明導電膜の可視光透過率は90%以上であり、電気伝導度の値としては、10^<-3>~10^<-2>S/cm程度となった。この電気伝導度の値から適用できる工業材料としては帯電防止フィルムが考えられる。 以上の結果から、透明導電材料の前駆体として、アルキルカルバゾール前駆体を用いることで、透明導電性インクと透明導電性フィルムを簡便に作製できることが判明した。
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