2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21605009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本山 幸弘 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20283492)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 固定化触媒 / 環境対応 / 希少元素 |
Research Abstract |
近年、開発途上国の急速な発展と世界的な人口増加により、地球上の元素資源の供給限界が速まっている。この問題に対し、物質を構成する元素の役割や性格を研究し、その機能や特性の発現機構を明らかにして元素に応じた代替・減量・リサイクル手法の開発や新機能の創出を目指す学術基盤の確立が急務である。本研究では安全なケイ素化合物であるシロキサンゲル内部に金属触媒をカプセル化した固定化触媒を創製し、ゲル内部で反応を行なうことで高効率かつ高選択性を達成すると共に、金属触媒の容易な「分離・回収・再利用」により、これら金属の使用量低減を含めた実践的な「もの創り」を達成しうる、元素戦略に立脚した触媒プロセスの実現を目的としている。 平成23年度では、これまでの成果を踏まえて金属ナノ粒子内包ゲルの創製にターゲットを置き、白金ナノ粒子触媒による芳香族ニトロ化合物の水素化還元によるアニリン誘導体の合成反応を設定した。 まず本反応の優れた触媒となることを既に報告している炭素ナノ繊維担持白金ナノ粒子(Pt/CNF-P)がアルケン類のヒドロシリル化反応の触媒としても機能することを見出した。そこで高分子状シランであるPMHSとPt/CNF-P存在下で1,5-ヘキサジエンを架橋剤として用い、Pt/CNF-Pを内包したシロキサンゲルの合成を行なった。なお、架橋剤だけではPMHSのSi-H基が残存したため、エチレン雰囲気下でエンドキャップを行った。このようにして合成したPt/CNF-H@Siを用い、芳香族ニトロ化合物の水素化還元反応における触媒活性、ならびに繰返し耐久性について詳細に検討した。 その結果、本触媒は内包前のPt/CNF-Pと比較して触媒活性が若干低下するものの、濾過のみで容易に触媒が回収でき、さらに繰返し再利用実験においても触媒活性の低下や金属の溶出も無かった。なお、Pt/CNF-Pは再利用可能であるもののCNFが微細粉末であるために定量的な回収が困難であったことから、シロキサンゲルに内包することで簡便に回収・再利用可能な固体触媒として充分に機能することを明らかにした。
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