2009 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価ニオブ触媒を用いた単純アルケンの高付加価値変換反応
Project/Area Number |
21605011
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大洞 康嗣 Kansai University, 化学生命工学部, 准教授 (50312418)
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Keywords | 低原子価ニオブ / 単純アルケン / 単純アルキン / 均一系触媒 / 1,3-シクロヘキサジエン / 環化付加反応 / クロスカップリング / 単純有機化合物 |
Research Abstract |
これまでの遷移金属錯体触媒を用いたアルケンとアルキンの反応においては、アルキンが有する高い反応性のために、アルキンのみの反応による環化三量化反応等の副反応を制御することが難しく、アルケンとアルキンとのクロスカップリング反応の報告例は限られている。したがって反応性の低い単純アルケンを反応剤として利用可能な高性能な均一系触媒種の開発が強く望まれている。本研究では、熱的に安定な低原子価前周期金属種であるニオブ化合物である三塩化ニオブを触媒として用いることにより、単純アルケン類との反応性を著しく向上させることに成功し、これまで全く報告例のない内部アルキンと末端アルキンとアルケンの高選択的3成分クロス[2+2+2]環化付加反応による1,3-シクロヘキサジエンの誘導体の合成反応に成功した。さらに末端アルキンとα,ω-ジエンのクロス[2+2+2]環化付加反応を行うことにより、5-ω-アルケニル-1,3-シクロヘキサジエン誘導体が高位置立体選択的に得られることをも見出した。本研究は合成困難な多置換1,3-シクロヘキサジエンをマスフィードストックである単純アルキン、アルケンを用いて得る反応であることから、従来にはない画期的な触媒変換反応を提供するとともに、低原子価ニオブが有する高い単純アルケン類との反応性を活かした極めて意義深い研究成果である。このように、本研究成果は高難度有機合成反応の例として学術的のみならず、工業的にも高いインパクトを与える研究であるといえる。
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Research Products
(5 results)