2011 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価ニオブ触媒を用いた単純アルケンの高付加価値変換反応
Project/Area Number |
21605011
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大洞 康嗣 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (50312418)
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Keywords | 低原子価ニオブ / 1, 3-シクロヘキサジエン / アルケン / アルキン / 環化付加 / ヒドロシラン |
Research Abstract |
前周期低原子価金属化合物は還元能が高く,その特性を活かした有機変換反応が多く報告され,有機合成化学の観点から注目されている化合物である. 本研究ではこれまでに熱的に安定な前周期低原子価金属化合物であるNbCl_3(DME)触媒を用いたアルキンとアルケンとの環化付加による1,3-シクロヘキサジエン誘導体の合成について報告している.1,3-シクロヘキサジエン誘導体はポリマー材料の原料や有機合成化学的にも有用な中間体として知られている.その合成法の一つとして,遷移金属触媒を用いたアルキンとオレフィンとの環化反応が知られているが,アルキンの環化三量化が優先的に進行するため困難とされていた.今回,我々は以下に示す二種類の環化付加反応を各々の低原子価ニオブ触媒を用いることにより進行することを見出した. (1):熱的に安定な前周期低原子価NbCl_3(DME)触媒を用い,末端アルキン,内部アルキンと末端アルケンを反応させることにより三成分[2+2+2]環化付加反応が進行し四置換体1,3-シクロヘキサジエン誘導体が高収率で得ることに成功した 2):ヒドロシラン化合物を還元剤として用い,五塩化ニオブからより簡便な方法で新規低原子価ニオブ種を発生させることに成功した.また発生した新規低原子価ニオブ触媒を末端アルキンとオレフィンとの環化反応に用いることで,従来のNbCl_3(DME)触媒より高い活性を示し,1,3シクロヘキサジエン誘導体を高収率で得ることに成功した.いずれの反応も副生成物であるアルキンの環化三量化を与えず高化学選択的に進行し,高位置選択的に生成物を与える反応である.本研究では,詳細な反応条件の検討に加えて,新規低原子価ニオブ種の構造に関する実験的考察な考察も行った.
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