2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域における子どもの発達と世代間交流-後期高齢者のかつての生活様式を遊びとして-
Project/Area Number |
21610023
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
金田 利子 Shiraume Gakuen University, 子ども学部, 教授 (60086006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 篤子 白梅学園短期大学, 福祉援助学科, 教授 (00180034)
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Keywords | 世代間交流 / 高齢者 / 子ども / 労働的遊び / かつての生活用具) / 相互互恵的発達 / 主導的活動 / 地域 |
Research Abstract |
本研究は、便利化されている生活をしている現行・未来世代である子どもたちが、生活の原理を、先行世代(高齢者)の生活様式を「遊び」とりわけ「労働的遊び」(ごっこのように虚構の遊びではなく、実際に目的をもってつくるのだが、過程が面白いからこそする行為)として取り入れていくことによって、学ぶという保育を実験的に行い、その教育的効果を子ども・高齢者の人間的発達と地域の活性化の視点から捉えることを目的して行われた。この実践には手作り中心の生活を担ってきた経験豊かな高齢者の登場が欠かせない。この取り組みが高齢者の主導的活動である「省察労働」と、幼児の主導的活動である「遊び」が相互にひびきあうとともに地域の活性化にも意味を持つことを3年間かけて実証するが、その1年目の平成21年度には次のようなことを行った。文献研究の上に、世代間交流をすでにしている園の取り組みにここでの仮説を入れて、実験を行いその成果を冊子まとめるまで実施したことである。具体的には高齢者と5歳児クラスのメンバーが石臼で、大豆からきなこや豆腐を作ることによる成果を見た。その結果、得られた成果は、(1)高齢者はかつての生活用具を使い、作り方を子どもたちに示すことで自身の役割を自覚し、子どもは、大豆ときなことの関係やフードプロセッサーと石臼の関係を知り、そのことを通して、両者の相互の必要性がかまった。特に興味深かったのは、子どもははじめ高齢者よりも生活用具に関心がいったが、やがてそれを使う高齢者に目が行き尊敬の念を深めた。これは子どもと高齢者とかつての生活用具の3項関係の成立と言える。また、子どもは遊びからよりよい成果を求める労働へ、高齢者は労働からプロセスを楽しむ遊びへと発展方向の交差が見られた。これこそ、ふれあいの相互発達と言える。この実験では東北の地域から石臼を借りたが、その地域にある生活用具を活かしていく必要性が課題となった。
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