2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21611010
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
木名瀬 栄 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 安全研究センター, 研究主幹 (70354701)
|
Keywords | 幹細胞 / ドジメトリ / 線量 / ボクセル / 階層化 / モンテカルロ / マウス / 胃腺管 |
Research Abstract |
本年度は、幹細胞ドジメトリの開発と幹細胞を起源とした細胞系譜における位置での線量分布評価研究の一環として、3次元臓器詳細モデルおよびモンテカルロ計算を用いた臓器線量評価コードを開発した。開発したコードは、電磁カスケードコードEGS4と放射線飛跡構造シミュレーションコードTRACELを組み合わせた、階層化ボクセルデータ用モンテカルロ線量計算システムとした。これにより、ボクセルファントム(小さな直方体または立方体(ボクセル)の集合体として個体を表現している)および細胞モデル内での光子・電子の輸送計算を行い、指定した領域での反応毎の沈着エネルギー等を評価可能にすることとした。研究実施計画のとおり、開発したコードを用いて、0.617×0.617×0.75マイクロメートルのボクセルの組み合わせで表現した、放射線感受性の高い基底細胞を特定した3次元マウス膀胱詳細モデル(平成21年度開発済)を、米国南カリフォルニア大学開発のマウスボクセルファントムに組み込み、膀胱基底細胞(幹細胞)での沈着エネルギー評価を行った。その結果、コードは動作不良を起こし、結果が得られなかった。コードの動作不良の原因として、細胞のボクセルモデルをマウスボクセルファントムに組み込む際、細胞の配置に矛盾があることが推定されたため、既に開発済みの胃腺管モデル(0.67×0.67×0.67マイクロメートルのボクセル)を用いて試計算を行い、コードが動作することを確認した。開発したコードについて、100keVの単色光子の外部被ばく照射(前方照射)した場合の胃壁での沈着エネルギーの吸収線量は、1.5nGy/src程度となり、他の計算コードの計算結果とほぼ一致することから、計算結果が妥当であることが示された。以上により、幹細胞を含む3次元臓器詳細モデルおよび階層化ボクセルデータ用モンテカルロ線量計算システム(コード)を開発した。
|