2011 Fiscal Year Annual Research Report
デンプン高生産性のウキクサ類を用いた食料非競合型のバイオエタノール生産
Project/Area Number |
21612004
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
森 一博 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (90294040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 靖浩 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50377587)
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Keywords | ウキクサ / デンプン / バイオエタノール / 食料非競合 / 環境水 |
Research Abstract |
ウキクサ類の水生植物は,生長が速く高いバイオマス生産能力を持つ一方,環境条件が生育に適さなくなると休眠体になりデンプンを蓄積することが知られる。本研究は,高い増殖能とデンプン生産能をもつウキクサ類を用いた栄養塩除去を兼ねたバイオエタノール生産を行い,我が国を含めた広くアジア域での食料非競合型のバイオエタノール生産に資することを目的に,1有用植物株の探索,2バイオマス生産条件の解明,3デンプン誘導条件の解明,4ウキクサ類バイオマス由来デンプン糖化条件の検討,5エタノール生産への適用性の検討,6システムの効率化と実用性評価を行う。 本年度は,これまでに野外採取等により取得したミジンコウキクサ6株の系統解析を行った後,休眠体の生産過程の観察,栄養塩濃度が増殖形態と休眠体の個体中デンプン含有量に及ぼす影響,休眠体誘導に及ぼす環境条件(光,温度,栄養濃度)の影響,増殖形態の加水分解条件について詳細な検討を行った。その結果,休眠体は増殖形態から別の固体として生産される一方,窒素,リンの何れの濃度が低下しても増殖形態と休眠体共にデンプン含有量が上昇し,休眠体と共に増殖形態の個体もデンプン資源として高い資源価値を有することが明らかとなった。さらに,増殖形態の生育と休眠体の誘導を促すための窒素・リン濃度,温度,光の条件を確定することができた。また,デンプンを含む増殖形態及び休眠体から効率的に糖化処理が行えることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに複数の環境応答性が異なる株を入手し,各々の株の増殖とデンプン生産の誘導条件を明らかにすることができている。さらに,回収された植物体から効率的に糖化を行えることを確認しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年は,これまでの研究計画に従い,ウキクサ類バイオマス由来デンプン糖化条件の検討,エタノール生産への適用性の検討,システムの効率化と実用性評価を行う。なお,既に有用な知見を得ているが,実用性をより向上させるため,継続して有用植物株の探索,バイオマス生産条件の解明,デンプン誘導条件の解明も進める予定である。
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Research Products
(3 results)