2010 Fiscal Year Annual Research Report
効率的発酵性能を有する担子菌を利用したバイオマスからの直接的アルコール類生産
Project/Area Number |
21612006
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡本 賢治 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80283969)
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Keywords | バイオエタノール / リグノセルロース / バイオマス / 担子菌 / バイオリファイナリー / 統合バイオプロセス / 発酵 |
Research Abstract |
石油の代替エネルギーとしてバイオエタノールが注目される中で、穀物原料や食料と競合しないリグノセルロース系バイオマスからの第2世代バイオエタノール生産技術の開発が急務となっている。木材腐朽能を持つ担子菌は自然界において木質資源のリサイクルに貢献している代表的な微生物であることから、バイオマスの糖化ならびにその前処理段階(脱リグニン等)への応用が期待される。本研究では、酵母に匹敵するアルコール発酵性を有する担子菌に着目し、当該担子菌の物質変換能を活用したエタノール生産をはじめとするバイオリファイナリー実現に向けた新たな潜在能力の発掘と機能解明を目的とする。今年度は、統合バイオプロセス(CBP)に利用可能な新たなセルロース分解酵素の精製と諸性質の把握、有望な発酵担子菌の探索とその特性を中心に進めた。まず、褐色腐朽菌Fomitopsis palustristにおいて新規な酸性β-glucosidaseを精製し、諸性質を明らかにした。また本菌がエタノール生産能を有していることも新たに見出した。さらに、白色腐朽菌Trametes hirsutaにおいてバイオマス(小麦ふすまや稲わらなど)からの直接的エタノール生産性があることを明らかにした。その一方で、リグノセルロースのヘミセルロース成分中に多く存在するキシロースを効率的に発酵可能な白色腐朽菌と褐色腐朽菌を単離することにも成功した。キシロースからのエタノール変換率は代表的なキシロース発酵酵母Pichia pastrisに匹敵することが示唆されている。真菌類の中で一部の酵母やカビを除き、キシロースの効率的な発酵を示す担子菌類の報告はこれまでになく、大変興味深い。今後、これら担子菌の発酵特性を解明し、リグノセルロースをはじめとする未利用バイオマスを原料とした効率的なバイオエタノール生産への応用を目指す。
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