2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21612009
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Research Institution | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
Principal Investigator |
竹田 匠 財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 主任研究員 (80423036)
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Keywords | 糖化 / セルロース / タンパク質生産 / エクスパンシン / グルカナーゼ |
Research Abstract |
植物細胞壁の主成分であるセルロースは、互いのセルロース繊維が水素結合により強固に結合しているため、酵素による加水分解が困難である。セルロースを加水分解し、効率的にグルコースを得るには優良な加水分解酵素やエクスパンシンの様な加水分解酵素の作用を促進するタンパク質を利用することが望ましいと考えられた。そこで、セルロース分解を促進するカタツムリ由来のタンパク質や加水分解酵素を異種発現系により調製し、これらのタンパク質によるセルロース分解への効果を検討することとした。カタツムリ由来のタンパク質はベンサミアーナ(植物)や麹菌のタンパク質発現系を用いることにより、タンパク質の作製に成功した。また、いもち病菌由来のセロビオヒドロラーゼとβ-グルコシダーゼは麹菌において生産することに成功した。さらにトリコデルマ由来のエンドグルカナーゼは枯草菌において生産することに成功した。作製したそれぞれの加水分解酵素にカタツムリ由来タンパク質を加え、セルロース分解への効果を調べたところ、カタツムリ由来のタンパク質はエンドグルカナーゼの分解作用を促進したが、セロビオヒドロラーゼやβ-グルコシダーゼの分解作用を促進しなかった。一方、カタツムリ由来タンパク質によるエクスパンシン活性(植物組織の伸展性を増加する効果)は認められなかった。次にこれら3種類の加水分解酵素を混合し、セルロースからのグルコース生産を調べた結果、カタツムリ由来タンパク質を添加することによりグルコース生産量が大幅に増加した。これらの結果から、エンドグルカナーゼの作用がカタツムリ由来タンパク質により促進され、その効果により生じたセルロースの分解産物を効率的にセロビオヒドロラーゼやβ-グルコシダーゼが分解するため、最終産物であるグルコース生産量が増加したと推察された。
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Research Products
(6 results)