2009 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚モデルに基づく新しい人工内耳による音声・音楽信号処理の研究
Project/Area Number |
21650036
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
北澤 茂良 Shizuoka University, 情報学部, 教授 (00109018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 聡 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 臨床教授 (00232653)
姜 洪仁 浜松医大, 附属病院, 助教 (30456553)
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Keywords | 人工内耳 / 人工内耳装用者 / ストラテジー / コクレア / CSPE / ACE / 音高聴取 / 人工内耳音階 |
Research Abstract |
CSPE方式人工内耳の調整方法(フィッティング:fitting)として、音響的にT/Cレベルを測定する方法を開発し、さらに、そのTレベルを等ラウドネスとなるように調整することによって人工内耳装用者の装用感と語音聴取を大幅に改善できるという前年度の知見に基づき、被験者2名について長期に装用した効果を確認した。いずれの被験者についても、最終的に語音聴取を改善できたが、途中においては様々な問題を解決する必要があった。 また、人工内耳による聴力レベルの測定も同時に継続的に行ったところ、1名の被験者については平坦化する傾向があり、同時に語音聴取も改善が見られた。一方、もう1名の被験者については、聴力レベルは周波数帯域ごとにかなりばらつき、全般に聴力レベルの低下の傾向があり、調整による改善が困難であると共に、語音聴取の悪化がみられた。また、ダイナミックレンジも若干狭くなっていた。最終的にはかなり回復が見られたが、この被験者は、以前の人工内耳装用時に石灰化の現象のために、電極を除去したことがあり、今回も、何らかの障害が生起している可能性が考えられる。 音楽のためのコード化法として、電極に対応する音高の音階(人工内耳音階)による編曲を行う方法について実践し、人工内耳による音楽聴取が明らかに改善されることを確認した。すなわち、人工内耳装用者が諦めていた音楽性が大幅に改善された。こうして、人工内耳装用者に適した音楽を生成し、人工内耳装用者2名に試聴していただき、大変好評を得ることができた。更に、歌唱合成ソフトを用いて人工内耳音階に編曲した歌唱を聴かせると、メロディが分かると共に曲名も明らかになって、より一層音楽が楽しめることが確認された。一部の樂曲についてはよく分かるという回答が得られている。その中で音楽として聴取困難な樂曲の問題点が明らかになったので、引続き、研究を継続する。
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Research Products
(2 results)