2011 Fiscal Year Annual Research Report
溶液成分を知覚し、その化学エネルギーにて自立的拍動輸送を行う送液チューブシステム
Project/Area Number |
21650041
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (10516298)
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Keywords | 化学エネルギー / 酵素 / 反応セル / グルコース / 隔膜 / 減圧 / チューブ / 送液 |
Research Abstract |
23年度では、まず前年度に作製したアクチュエータ・セルについて、特性を評価した。本システムでは、下部セルにグルコース溶液を送液することで酵素反応により上部セルの酸素が消費され、減圧に伴いポリウレタンゴムが変形し、グルコース溶液が下部セルに流入する。次いでポンプ上部セルの内圧を解放するとゴムシート形状が回復し、弁を制御することでグルコース溶液を自立的に吐出する。この一連の駆動機序をポンプ上部セルの内圧変化とブドウ糖溶液(100.0mmol/l)の送液量を経時計測することで評価した。その結果、圧力制御システムにより、グルコースの付加による圧力減少が観察され、グルコース濃度と圧力減少速度との間に高い線形性が確認され、グルコース濃度による圧力制御が可能であった。そして作製したセルのポンプ特性を送液したグルコース溶液量と、上部セル内の差圧の時間変化として示したところ、グルコースの付加によりセル内の差圧が下降し、6分後に圧力解放することで差圧がゼロに戻り、ゴムシート変形分のグルコース溶液を吐出(約25μl/分)することができた。つまり開発したセルシステムでは、付加したグルコースの化学エネルギーを機械エネルギーに直接的に変換し、グルコース溶液自身を自立的に送液することが可能であった。 さらに本年度において、開発したシステムをチューブ形状とし、チューブ型アクチュエータへの改良を進めた。つまりプラスチックのセルではなく、本当の血管のように柔軟性に優れたチューブにて送液を試みるため、酵素膜についてはこれまでの平らな膜ではなく、チューブ形状などの3次元構造物にGOD酵素膜作製を、タンパク質コーターを用いて実施した。しかしながらチューブ材への酵素の均一固定は可能であるものの、グルコース溶液の送液により、チューブ膜が膨潤し変形することで、エネルギー変換に必要な十分な減圧力が得られなかった。
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Research Products
(2 results)