2011 Fiscal Year Annual Research Report
感性を"測る"ためのツール開発を目指した感性表出オントロジーの構築
Project/Area Number |
21650047
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
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Keywords | 印象評価 / 感性 / オントロジー / 感性表出 / 心的過程 / 内観データ / 色彩情報 / 調和感 |
Research Abstract |
本研究の目的は人間が感性を表出する際の心の振る舞いを記述することによって,感性を"測る"ためのツールを開発することにあった.そのためには次の2つのサブゴールを設定した.(1)感性表出タスクオントロジー(以下,感性ONT>の構築,(2)感性を測るツールの開発であった.(1)については,本研究では感性を表出することを問題解決(タスク)として捉えた.その上で「対象について述べた印象」から感性を表出するというタスクに関する知識を抽出し,その構造をタスクオントロジーとして記述した.次に(2)では,その感性ONTを参照しながら多次元な尺度を構成した.また,人工神経回路網を用いた対象と印象の関連付けや,定性的シミュレーションによる心の変化の可視化を試みた.特に,平成23年度は感性ONT構築の成果として,感性を"測る"ためのツールの開発を行った.具体的には次の3点の研究開発を行った.(1)感性ONTに基づく,印象評価尺度の構成,および,その解析手法の開発.ある対象に関する印象評価の代表的手法としてSD法があげられるが,SD法は印象に関する表層的なレベルの分析であり,因子分析等の結果において,印象語のもつ意味構造により因子の解釈を行うものである.これに対して本研究で提案した手法は,印象を表出する過程をもとにした分析手法であり,対象に対する印象に関して,より深いレベルでの分析が可能となった.(2)ニューラルネットワークによる感性ONTと印象表現を結びつけるためのシステム開発.(3)印象評価における心的過程を可視化するためのシミュレーションツールの開発.具体的には,感性ONTを基盤として,ニューラルネットワークを用いて人間の色彩(多色配色)に対する印象評価プロセスのシミュレーションを行った.その結果,推定精度の向上は今後の課題であるが,妥当なシミュレーション結果を得ることができた.
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Research Products
(17 results)