2009 Fiscal Year Annual Research Report
表情トポグラフィの医療・看護学的応用-感情変化の視覚化を試みる-
Project/Area Number |
21650058
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
根本 清次 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (40218277)
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Keywords | 感情変化 / 表情 / 筋電位 / トポグラフィ |
Research Abstract |
表情は顔面の筋運動によって感情を表出すると考えられ、脳機能が統合的に発揮された結果であるといえる。また、表情を表わすものと、視覚的に認識するものとの間で成立する、最も重要な非言語的コミュニケーション手段である。表情は顔面の骨格筋である表情筋の収縮によりもたらされるため、運動神経由来の終板電位および筋細胞由来の筋電位が存在する。表情をトポグラム化することは顔貌や顔形に関わらず、客観性を高めた状態で感情評価を試みることができる。本研究では軽便で安定な方法で、顔面上の電位を誘導し、円形に統一された形で周波数帯域別トポグラムを作成し、その医療・看護学的応用について考察を深めている。 平成21年度においては、高精度かっ軽便に実行できる表情トポグラフィの開発を目指した。被験者は倫理規定に基づいて研究の承諾を得られた健康な成人男女とし、顔面より電位を誘導する実験を行った。したがって、当初の作業として皮膚密着型電極を開発した。電極は表情・体位が変化しても外れず、かつ皮膚に全く損傷を与えない摩擦密着型とし、その重量により被験者が不快感を生じないよう工夫した。さらに顔面皮脂を効果的に除去する素材を選択し、電位の誘導が充分可能なインピーダンスの低下を達成した。被験者は実験者の合図に従って、無表情、笑い顔、微笑の表情、嫌悪の表情、悲しみの表情、しかめ顔、および驚きの表情を表出し、その際の電位測定を行った(作為的表出)。また、記憶想起によるエピソードで、任意の感情を惹起し、その際のトポグラムを作成することができた(記憶的表出)。 尚、記憶想起によるエピソードの再現で感情変化を起こすことは充分可能であり、同時に、体性感覚機能にも影響を与えることを日本看護技術学会にて発表した。
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