2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650059
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
片桐 恭弘 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60374097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下嶋 篤 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40303341)
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Keywords | 認知科学 / 推論・問題解決 / 空間思考 |
Research Abstract |
本研究課題では,空間思考を中核とする問題解決の高次認知活動を対象とした認知心理実験を行い,そこから得られる実証的事実に立脚し,言語思考に関する認知の計算理論との対比に基づいて,空間思考を支える計算理論を構想し,その構成要素を明らかにすることを目標とする. 平成21年度は,初年度であり,二次元に数値あるいは記号を配置した単純な表を対象とした表読み取り課題を用いて,課題遂行中の視線計測を行う認知実験を行った.その結果以下のことが明らかになった.(1)課題が行(あるいは列)の特徴の読み取りを要請する時に,一行(あるいは一列)を構成する要素間の距離が小さい時には,視線は行内(あるいは列内)の個々の要素に別々に向けられるのでなく,行全体(あるいは列全体)に向けられる.すなわち行(あるいは列)が全体としてひとつの対象として認知される.(2)課題遂行中に行(あるいは列)単位での視線の戻りが観測される.すなわち,行全体(あるいは列全体)で認知された情報が視覚インデックスとしてその行(あるいは列)に空間的に記憶され,視覚インデックスを通じて情報活用がなされる.これらの実験結果から,課題遂行のために意味を持つ対象が空間内で視覚インデックスとして設定され,推論のための道具として活用されるという空間思考の計算理論が導かれた. これらの研究結果をまとめて図的推論国際会議および空間認知国際会議に投稿し受理された.
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