大規模環境リスク評価のための統計解析法の実証的研究

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21650066
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 中村 剛 Nagasaki University, 環境科学部, 教授 (80039586)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 世良 耕一郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00230855) ; 牧江 俊雄 長崎大学, 大阪医療センター臨床研究センター, 研究員 (80435891) ; 高辻 俊宏 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (70163219)
• Keywords: 疫学調査 / 移設可能性 / PIXE / 砒素 / 測定誤差 / ミネラル量

Research Abstract

Bangladeshに2009年10月5日から11月20日まで世良教授とShafiqul氏(長崎大学博士課程院生)とが出張し、バングラデシュ農業大学Jevu准教授の案内のもと、Comilla地区における2つの特に砒素汚染レベルの高い村の住民2441名(全村民の60%)を抽出し、個人ごとにアンケート並びに健康調査を実施した。調査項目は、曝露量推定に必要な情報(使用井戸の汚染レベル、使用期間)、健康情報(性、年齢、身長、体重、血圧、疾病の有無)、さらに890名を抽出し毛髪を数本採取した。毛髪を日本に持ち帰り、PIXE分析をおこない、砒素を含む20種類以上のミネラル量を測定した。また回収されたアンケートを全てパソコン入力した。現在は信頼度が低いと判断された検体の再測定の準備をしているが、この業務は3月中には終了し、890名の精度の高いミネラル推定量を確定する予定である。その後、PIXE測定により得られた毛髪ミネラル量の値を目的変数、(性別、年齢、井戸の汚染レベル、使用期間)を共変量とする重回帰分析を行うことにより、ミネラル量を推定するための重回帰式を構成する。その式を用いて、2441名全ての対象者についてミネラル量の不偏推定値を求める。その推定値の精度を正確に求めておくことが、次年度のリスク推定において要求されるので、平成18～19年度科研費(メタボリックシンドローム症候群診断基準の疫学的意義を明確にするための統計解析理論の開発)で開発された「移設可能性」の条件を満たすように、適切な前処理を施す。