2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス面上に形成したシナプス前膜および後膜における一分子動態解析
Project/Area Number |
21650073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 丈夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50181178)
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Keywords | シナプス / グルタミン酸受容体 / 培養 / 全反射顕微鏡 / ニューレキシン / 長期増強 |
Research Abstract |
シナプス伝達における受容部であるシナプス後膜近傍での受容体タンパク質の挙動を明らかにするために、ガラス面上に直接シナプス後膜構造を形成させて、蛍光標識した受容体等の振る舞いを全反射蛍光顕微鏡を用いて、高シグナル・ノイズ比でリアルタイム記録することをめざした。ビオチン化牛血清アルブミンとストレプトアビジン等を用いて、ニューレキシンでコートしたガラスを用意し、その上で海馬神経細胞を培養することによって、ガラス面に対してグルタミン酸作動性興奮性シナプス後部様構造を形成させることができ、またAMPA型グルタミン酸受容体に蛍光タンパク質フルオリンを融合したタンパク質を神経細胞で発現させることにより、シナプス後膜内外での受容体の増減・動態を観察できた。次に、長期増強と呼ばれるシナプス可塑性を引き起こす電場刺激を培養神経細胞に加えた際の、AMPA受容体各サブユニットの変化を調べる実験を行った。その結果、各サブタイプのAMPA受容体が長期増強の発現に際して、異なるタイミングで別の経路を通ってシナプス後膜で増加することが分かった。GluA1サブユニット4個によって形成されるAMPA受容体が、長期増強発現に際して最初にシナプス後膜近傍にエキソサイトーシスされた。その後、GluA1とGluA2サブユニット2個ずつからなるAMPA受容体がシナプス後膜外にエキソサイトーシスされて、引き続く細胞膜上での側方移動によりシナプス後膜へ到達した。さらにその後、GluA2とGluA3サブユニット2個ずつからなるAMPA受容体が、シナプス後膜外へのエキソサイトーシスと側方移動によりシナプス後膜で増加した。このように、ガラス面上でのシナプス後膜形成という新実験手法を確立し、シナプス可塑性時の受容体挙動を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)