2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650101
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
正木 美佳 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究員 (80455245)
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Keywords | ストレス / 睡眠 / 不眠 |
Research Abstract |
社会的ストレスによって睡眠が阻害されることは知られているが、ストレスにより誘導される脳内での不眠のメカニズムについてはほとんど知られていない。さらに、そのモデル動物は未だ存在していない。本研究ではマウスに慢性的な社会的ストレスを与え、その睡眠・覚醒量への影響を、当研究所が開発したシステムを用いた睡眠評価法に基づいて確認する。また、分子生物学的な手法により、社会的ストレスによる不眠の作用機序を解明する。本年度は、C57BL/6系雄性マウスに、他個体を繰り返し接触させることでストレス負荷を与え、同時に睡眠測定が可能な装置を作製した。ストレス負荷方法として、明期開始2時間後から10分間、ICR系雄性マウスを接触させ、その後、笠日の接触までアクリルで仕切られた隣接するケージに侵入マウスを移動した。実験開始前日に基礎睡眠量の記録を行い、ストレス負荷は10日間繰り返し行った。対照群として、非接触で隣接ケージにICRマウスを居住させた状態で記録を行った。結果、対照群と比較して、ストレス負荷1日目、10日目に覚醒量が増加する傾向があったが、統計的に有意な差は見られなかった。一方、基礎睡眠量と比較した結果、1日目、10日目に覚醒量の増加が認められた。この覚醒効果には、通常現れるリバウンド睡眠は認められず、基礎睡眠量と同様の睡眠覚醒量がみられた。さらに、本研究による覚醒量の増加は、1回の覚醒持続時間が延長し、ノンレム睡眠が短縮したものであることが確認された。また、繰り返しのストレス負荷により、覚醒持続時間の効果は下がるものの、睡眠中の中途覚醒が増加する傾向がみられた。これらのことより、ストレス負荷による不眠効果は、他個体を接触させなくとも、隣接ケージに存在させることだけでも効果が現れるが、一定時間接触させることにより、持続した効果が現れることが確認できた。
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