2011 Fiscal Year Annual Research Report
生きた単一の幹細部の内部と表面の情報を得るチップ増強ラマン散乱計測法の構築
Project/Area Number |
21650104
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 貞明 電気通信大学, 燃料電池イノベーション研究センター, 特任教授 (20374720)
|
Keywords | 細胞培養基材 / 細胞・組織 / 走査プローブ顕微鏡 / 移植・再生医療 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
前年度までに、自己組織化ハニカム膜及び超高分子量ポリエチレン微粒子の単層焼結膜(PE-PEARL)を培養基材とすると、ウイルス感染などの恐れのある成長因子を用いることなく、従来の培養基材と同等以上の増殖性が得られ、さらにタンパク質分解酵素を用いることなく細胞を剥離回収出来る可能性を見出した。 本年度はFI-PEARL単粒子焼結膜上で、ラット骨髄間葉系幹細胞の培養を行い、増殖性、細胞培養後の回収性について定量化を行った。また接着形態・強度、分裂過程、未分化性保持に及ぼす影響を染色、SEM、AFM、及びCLSMを用いて詳細に調べた。従来知られている分裂様式とは異なり細胞は伸展せず半球状で接着し、その接着状態で分裂することが確認出来た。増殖性は表面が平坦なポリスチレン製培養皿上の増殖性に比べ約1.5倍高いことがわかった。細胞培養後、水洗浄により因子が無くとも、90%程度の細胞が回収されることがわかった。本結果は、微細な凹凸構造を持った膜を培養基材とすることによりウイルス等の感染の恐れがなく迅速に骨髄間葉系幹細胞を増やし、タンパク質分解酵素を用いることなく、容易に剥離回収出来ることを示すものである。 また、微細な凹凸表面上での骨髄間葉系幹細胞の挙動が平坦な表面上と異なっているメカニズムを明らかにするために自己組織化ハニカムフィルム上で培養しRT-PCR(P21、CD73、CD105)を行って未分化性、分裂能、増殖能など細胞特性を遺伝子レベルで評価した。その結果、表面が平坦な培養基材上に比べ、増殖性抑制物質や細胞老化を誘起する物質産生の遺伝子発現が抑制されていること、未分化性を示すタンパク質を産生する遺伝子が発現していることなど、微細な表面構造を持つ培養基材上での細胞挙動の解明にとり重要な情報が得られた。現在、本成果の特許化と論文発表の準備を行っている。
|