2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体硬組織診断のためのテラヘルツ・カラーCTに関する基礎研究
Project/Area Number |
21650111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 武史 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (70314408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 勉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50136214)
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Keywords | テラヘルツ / 赤外材料・素子 / 応用光学・量子光工学 / 細胞・組織 / CT |
Research Abstract |
生体硬組織の診断では、内部構造を3次元的に可視化するX線CTが一般に用いられる。しかし、X線CTで取得される画像は一般に単色の濃淡図(白黒)であるため、X線吸収を介して幾何学的な構造情報は取得できるものの、単色の濃淡情報から取得可能な情報には限界がある。もし、このようなCT技術をカラー画像化できれば、分光学的手法に基づいた成分分析が可能となり、幾何学的構造以外の様々な生体情報(化学構造、結晶構造など)が取得可能になる。本研究では、良好な物質透過性、極低侵襲性、広帯域スペクトル、分光計測やイメージング計測が可能といった特徴を有するパルス状テラヘルツ電磁波(THzパルス)に着目し、これを用いた高速THzカラーCTの開発を行う。 高速THzカラーCTを実現するための技術的課題の1つが、THzパルスの高出力化による測定SN比の大幅な向上である。従来は、非線形光学結晶(テルル化亜鉛結晶)の共軸型位相整合によりTHzパルスを発生させていたが、生体硬組織を十分に高い測定SN比で実時間測定をするのに十分であるとは言い難かった。そこで、高効率非線形光学結晶(ニオブ酸リチウム結晶)からのチェレンコフ放射に対して傾斜パルスフロント型位相整合法を適用することにより、高出力THzパルスの発生を試みた。この手法では、回折格子とレンズ・ペアを用いてパルスフロント面を傾斜させた増幅フェムト秒レーザー光をニオブ酸リチウム結晶に入射することにより、結晶内で位相整合を保ちながらチェレンコフ放射を起こすので、効率的なTHzパルス発生が可能になる。本手法を用いることにより、従来のテルル化亜鉛結晶を用いた共軸型位相整合によるTHzパルス発生と比較して、THz電場で50倍(THzパワーで2500倍)の増大を実現した。その結果、測定SN比の大幅な向上が達成された。
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Research Products
(5 results)