2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650114
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷下 一夫 Keio University, 理工学部, 教授 (10101776)
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Keywords | 生物・生体工学 / 脳動脈瘤 / 血流 / バイオメカニクス / 誘発脳動脈瘤 / 壁面せん断応力 / 壁面せん断応力勾配 / 弾性繊維 |
Research Abstract |
バイオメカニクス仮説を検証するために、患者のCT画像を基にする流体力学的解析と動物実験を行う。即ち、患者の脳動脈瘤のCT画像から再構築された瘤形状から、瘤内の血液流のリアリステイク解析を行い、当該患者の症状と対応させ、血流と破裂との対応関係を明らかにする。例えば、中大脳動脈瘤内の血流分布で、未破裂の診断を受けた例で、破裂の可能性のある例とでは、血流構造が異なっている。さらに、ラット及びウサギの脳血管内に動脈瘤を誘発させ、血管壁内の変化と血流との関係を調べ、瘤発生と成長に血流の力学的刺激がどのように作用するかを明らかにする。これらの結果から、瘤成長のバイオメカニクス的リスクファクターを確立させる。 21年度では、患者のCT画像を基にした実形状モデルにおいて、血流構造と壁面せん断応力分布を計測して、流星長との関連に関して検討を行った。さらに、ラットの脳血管に形成させた脳動脈瘤内の流れと血管壁の構造やタンパク質の発現などの分子生物学的な検討も行い、流れの刺激による瘤の成長の可能性に関して検討を行った。その結果、壁面せん断応力の勾配の大きい部分では、弾性繊維を欠落させる酵素が発現し、成長を促進させ、その結果凹んだ瘤が成長する。瘤が成長すると必然的にその部分の壁面せん断応力は低下し、平滑筋を欠落させる酵素が発現する。このような2段階のプロセスによって、血行力学的な要因が瘤の成長に関わっている事が明らかになった。さらに、瘤の知慮に関しては、ステントの開発を行い、特にステントメッシュの幾何学的な形状によって、大きくステントの柔軟性が変化することがわかり、脳血管に適応するステントのデザインの可能性が明らかになった。
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Research Products
(4 results)