2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650115
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 政廣 Shibaura Institute of Technology, システム理工学部, 教授 (60158954)
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞・組織 / 酸素 / 生体顕微鏡 |
Research Abstract |
再建医学領域における有効な治療法として自己組織再生と組織工学的再生臓器の移植が考えられる。これらにとって共通の問題点は再生組織を栄養するための微小循環血行の確立が難しいことである。本研究では、自己および組織工学的再生組織への微小循環血行確立を目指し、初年度である本年は低酸素に対応する生体制御システムの一環としての血管新生メカニズムを検証した。生体内血管新生モデルとして、骨格筋微小循環モデルに加え、マウス背部皮膚を対象とした皮膚軟部組織の微小循環を可視化する実験モデルを開発した。この実験モデルにより、通常の微小循環観察のみならず、創傷治癒過程の血管新生を慢性的、定量的に解析することが可能となった。骨格筋モデルでの生理的状態においては毛細血管血流の増加により血管新生が誘起されることが明らかになった。また毛細血管血流は組織酸素分圧に強く依存し、毛細血管新生のみに注目した場合は、低酸素環境が有利であると考えられる。一方、マウス背部モデルによる創傷治癒過程の観察では、骨格筋モデルと同様に、低酸素環境では創傷部位での新生毛細血管数は多いにも係わらず、創傷治癒、すなわち組織再生には時間を要した。以上の結果より、組織再生時においては、初期の毛細血管が欠如している時期には低酸素環境が適し、一定の血管新生が得られた時期からは通常酸素環境にすることが有効ではないかと考えられる。
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