2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺村 裕治 Kyoto University, 放射性同位元素総合センター, 助教 (10365421)
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Keywords | ES細胞 / 細胞間相互作用 / 分化誘導 / 表面修飾 |
Research Abstract |
細胞間の相互作用は生体反応において、重要な役割を果たしているものの、いまだ解析手法は確立されていない。異なる細胞を自由に配列することが可能になれば、細胞間相互作用の解析に良いツールが提供できるものと考えられる。我々のグループでは、分子内に疎水部と親水部を持つ両親媒性高分子を合成し、その疎水部と細胞膜の脂質二重層との疎水性相互作用によって細胞表面への両親媒性高分子の固定を試みてきた。本研究では、異なる二種類の細胞間の相互作用を調べるために、両親媒性高分子とビオチンとストレプトアビジンの強力な結合により細胞間の接着を引き起こし、細胞の配列を試みた。具体的には、ビオチン基を末端に有するポリエチレングリコール結合脂質(ビオチンPEG脂質)にて細胞を表面修飾してビオチン基を導入し、他方の細胞には、同処理を行った後、ストレプトアビジンを反応させて、ストレプトアビジンを細胞表面に固定した。両者を混合することによって異なる細胞間の接着を引き起こした。この手法を利用し、マウス胚性幹細胞(ES細胞)の胚様体周囲に異種細胞を固定し、細胞間相互作用によるES細胞の分化の様子を経時的に観察した。フィーダー細胞であるPA6細胞と相互作用しているES細胞の領域から神経への分化の促進が見られ、分化誘導が引き起こされていた。他方、コントロールの細胞(HEK293細胞)を固定化した胚様体では、神経マーカーの発現は全く見られなかった。このことは、HEK293細胞と胚様体間の相互作用により、ES細胞の分化が抑制されたためと考えられる。このように、両親媒性高分子及びビオチン、ストレプトアビジンを用いることによって、異なる細胞同士の接着が可能となり、細胞間相互作用を調べることが可能になった。ES細胞に異種細胞を接着させ、その分化状態を経時観察することにより、細胞間の相互作用を観察することができた。
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