2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞支持基盤の弾性調節による初代培養脂肪・肝臓・骨格筋細胞の長期間機能保持の試み
Project/Area Number |
21650119
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
船木 真理 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (10467821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋 豊 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50136222)
保坂 利男 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院糖尿病対策センター, 助教 (60403698)
|
Keywords | 細胞外基質 |
Research Abstract |
初代培養細胞に先立ち、継代細胞である3T3-L1脂肪細胞の細胞機能が、細胞外基質の弾性を脂肪組の弾性に合致させることによりどのように変化するか、をまず調べた。脂肪組織の弾性を模したゲル上では、プラスチック・ガラスなどの通常の培養条件と異なり、3T3T-L1脂肪細胞におけるGLUT1発現が完全に消失し、糖輸送担体の発現パターンが初代培養脂肪細胞に類似のものとなった。初代培養脂肪細胞より操作が容易で、より長期間にわたりインスリン刺激への応答性を示す3T3T-L1脂肪細胞において、細胞外基質の弾性を脂肪組織の弾性と一致させることにより初代培養脂肪細胞類似の細胞機能が得られたことから、ゲルを用いることで3T3T-L1脂肪細胞が生体内の脂肪細胞の挙動を再現するツールとなる可能性が示唆された。そこでゲル上の3T3T-L1脂肪細胞におけるインスリン作用を解析した。脂肪組織の弾性に合致したゲル上では3T3T-L1脂肪細胞におけるインスリンシグナル伝達物質の発現が増加し、さらにインスリン刺激によってこれらの分子の活性も増加した。その結果、ゲル上ではインスリン刺激によるGLUT4の細胞膜挿入が増強し、これらの細胞におけるインスリン感受性が増した。2型糖尿病に見られるインスリン抵抗性においては、脂肪細胞におけるインスリン作用が減弱することが知られている。したがって脂肪組織のおけるインスリン抵抗性発生のメカニズムの一つとして、細胞外基質の物理的性状が初めて示された。
|
Research Products
(3 results)