2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋骨格モデルを用いた順動力学的評価に基づく新たなリハビリテーションシステムの開発
Project/Area Number |
21650136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪山 直生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90261221)
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Keywords | 筋骨格モデル / 順動力学 / リハビリテーションシステム |
Research Abstract |
研究開始から現在までに、筋骨格モデルを用いたシミュレーション解析の基礎的研究として、健常者を対象として静止片足立ちにおける股関節周囲筋の筋張力の解析を行った。その後、平成23年度には、患者を対象とした筋骨格モデル作成のために、歩行動作を中心に実際の動作データを採取し分析を行った。 まず、骨腫瘍切除にともない腫瘍用人工膝関節置換術を行った患者5名の歩行動作分析を実施した。患者群の歩行特性として、患者5名中4名は術側接地後に膝屈曲運動が出現せず、1名は術側立脚期後半の膝伸展運動が出現しなかった。また、立脚期における股・膝・足関節伸展モーメントの総和であるサポートモーメントや膝伸展モーメントは立脚期前半の最大値が健常群より患者の術側では有意に小さかった。また、立脚期中の足関節の負のパワーの時間積分値と足底接地-立脚中期間の平均足背屈角速度は術側が健常群より有意に大きかった。立脚後期の床反力の垂直分力の最大値は術側が健常群より有意に小さく、非術側が健常群より有意に大きかった。立脚後期の足底屈モーメント・圧迫力の最大値は術側が健常群より有意に小さく、膝関節の圧迫力は非術側が健常群より有意に大きかった。なおこのデータについては、第47回日本理学療法学術大会において発表予定である。 また、変形性股関節症による人工股関節全置換術を施行された患者を対象として、歩行動作の測定から患者固有の筋骨格モデルを作成し、それを用いた筋張力の推定を行った(第38回日本股関節学会にて発表済み)。その結果、患者における歩行時の筋張力の低下は、筋個々によりその低下率には違いがあり、特に腸腰筋の張力低下が著しいことなどが明らかとなった。今後は骨軟部腫瘍の患者の筋骨格モデルも作成し、骨や筋の部分切除に伴う代償メカニズムの解析および筋張力の増減をシミュレーションすることによる治療戦略の立案に向けた調査を進めていく予定である。連携究究者:京都大学運動機能開発学分野 教授 市橋則明 京都大学運動機能開発学分野 助教 建内宏重
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Research Products
(1 results)