2010 Fiscal Year Annual Research Report
Divided attentionの障害に対する評価法の開発
Project/Area Number |
21650142
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
豊倉 穣 東海大学, 医学部, 教授 (20217566)
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Keywords | リハビリテーション / 高次脳機能障害 / 注意障害 / 分配性注意 / 評価 / 臨床検査 |
Research Abstract |
複数課題を同時処理するdivided attention(以下DA)は高次の注意機能であり,軽症例でもその障害が生じ得る。しかし標準的な検査がないため臨床的に見逃される危険がある。本研究では聴覚的課題と視覚課題を同時に行うdual task(以下DT)を考案しその特性を検討した。<1>対象は健常者110名で20~50歳代までの4年代群別にそれぞれ35, 28, 25, 22名となった。全員にDTを実施したが,本課題は聴覚的末梢課題(1から19までの数字のうち8のみに応答)と筆算(4桁の加算)を同時に施行するものである。聴覚課題の正答率,的中率は年代群間で差を認めなかった。視覚課題の実施数も加齢変化を認めなかったが,正答数,正答率には年齢の影響を認めた。すべてのパラメーターに対して年齢,教育年数の影響を重回帰分析で検討したが,いずれも教育年数の影響は明らかでなかった。計算課題の正解数,正答率については20~30歳代と40~50歳代に分けた基準値の設定が必要と思われた。〈2〉Single task(以下ST)として施行した成績との比較からDAに関する加齢の影響を分析した。健常者52名(10歳ごと20~50歳代の4群にそれぞれ13名ずつ)を対象とした。先の演題と同じDTに加え,日を変えて計算課題のみをSTとして施行した。計算課題成績の全対象者平均値をST→DTで示すと,実施数34.7→27.3,正解数31.8→24.1,正答率91.4→88.2といずれも有意に低下した。実施数,正解数はSTとDTで高い相関(r=0.804,0.785)を認めた。4年代群で分けて検討しても上記と全く同様の知見が得られた。DTによる成績の低下に年齢の影響があるかを検討するために,実施数,正解数,正答率ともDT/ST比を求めて分析したが,いずれも年代群間に有意差を認めなかった。以上より,今回の年代の範囲では,DTによる成績の低下に加齢変化を認めなかった。
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