2009 Fiscal Year Annual Research Report
視機能による発達障害スクリーニングシステムの構築に関する研究
Project/Area Number |
21650152
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
長嶋 祐二 Kogakuin University, 情報学部, 教授 (50138137)
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Keywords | 福祉情報学 / 発達障害 / 視機能 |
Research Abstract |
本研究では、特に視機能に問題のある発達障害の原因の解明、早期発見、学習支援を目指し、問診や視機能検査のデータのデータベース構築と分析、視覚運動計測システムの構築、および、視覚認知機構の解明を目的とする。平成21年度は、視覚認知発達スクリーニング検査ツール(Screening Test for Visual Perceptional skills:以下,STVP)のシステムの設計及び構築を行った。また、症例の類型化のため、読み書きに困難さを訴える児童のWISC-IIIと近見視力、眼球運動の関連を調べた。以下に本年度得られた主な結果を示す。 (1)視覚認知発達スクリーニング検査ツール:STVでは、反応時間関係、注意関係、眼球運動関係、記憶関係、非運動視知覚関係、視覚運動関係の6群より構成した。今年度試作した検査課題は、反応時間計測課題、眼球運動課題、注意題、模写課題、反応時間計測課題、眼球運動課題、注意課題、模写課題を設計し、実装した。STVPにより検査した被験者数は、7歳から12歳までの25人である。検査結果より、課題の難易度は適当と思われるが、詳細な分析には定常発達の子供の被験者を増やさなければいけないことが分かった。 (2)症例の類型化では、読み書き学習に困難さをもつ児童で、視覚認知発達検査を希望した児童の視力および、眼球運動と知能検査との関係について分析を行った。その結果、弱視児のみならず、読み書きの弱さを主訴にしている児童に対しても視力と知能検査結果との間に関連性がみられた。またPIQとFIQではPIQのほうがより強い関連がみられたことから、動作性課題は視覚・運動的な知能、認知能力や視覚的操作能力を表していることを示した。DEMとWISC-IIIとの間にも関連性が確認できた。処理速度をみるTEST C SSとError SSをそれぞれPIQと比較したところ、TEST C SSに、より強い関連がみられた。結果から、WISC-III動作性課題には正確さよりも処理速度が大きく関与しているよう推察された。
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