2009 Fiscal Year Annual Research Report
二重経頭蓋磁気刺激法による運動前野・運動野の興奮性と運動観察の基礎的研究
Project/Area Number |
21650154
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
丸山 敦夫 Niigata University of Health and Welfare, 健康科学部, 教授 (80117548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅人 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (20315386)
塗夫 淳夫 鹿児島大学, 工学部, 助教 (50336319)
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Keywords | 磁気刺激法 / 運動前野 / 運動野 / 運動観察 |
Research Abstract |
本研究は、実戦的な動作の運動観察や模倣が、運動技能獲得にいかに重要なのかを脳神経科学の面から明らかにすることである。特に、二重経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いて運動観察が初心者の運動技術獲得に重要であるかを腹側運動前野と運動野の興奮性連携から検討した。今年度では運動観察をした場合、長期学習をしている野球鍛錬者と初心者である女子大学生を比較し、ボール投げ動作の運動観察時にどのような視覚瞳孔の追跡状況かと大脳の運動野の興奮性変化を明らかにした。 運動課題は、「ボールを遠くへ投げる」ときの手首と肘の動きをよく観察することである。ボール投げがうまくできない女子大学生および野球鍛錬者の大学生を対象に選択した。1)ボール投げの運動動作を大きなテレビ画面に映し出しスローの画面で指や手首や肘の動きを観察者に観察させた、運動観察用瞳孔追跡装置で観察部位を測定した。2)動作観察時および投球イメージ時に二重経頭蓋磁気刺激法で皮質内運動野の興奮性を測定した。 ボールを投げるときの手首と肘の動きを拡大しスローで再生した。その結果、1)投球動作観察においては野球経験者の瞳孔は画像上の手首、肘、腰、足の軌跡を追従して見ていることが示されたが、うまく投げられない女子大学生では動作の追従性が見られず、さまざまなポイントを漫然と見ていることが示された。2)野球経験者の動作観察時とイメージ時に二重経頭蓋磁気刺激法で右手FDI筋を誘発できる部位を刺激したところ、運動観察時の皮質内抑制は何も考えない状態でのコントロール値より低下した。つまり、脱抑制した。初心者には明確なSICIの興奮性を確認することができなかった。このことは、初心者の運動観察による腹側運動前野と運動野の連携が成立していないことが推察された。
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