2009 Fiscal Year Annual Research Report
インクルーシブな身体活動の実施が児童の相互理解に及ぼす影響の包括的評価手法の開発
Project/Area Number |
21650156
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岩岡 研典 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (50223368)
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Keywords | 感性の教育 / インクルーシブ体育 / インクルーション / 特別支援 / 相互理解 |
Research Abstract |
助成初年度は、他者に対する関心度・集中度を惹起する葛藤場面を含んだ提示課題の作成と、同課題の提示に対する両眼の眼球運動と唾液中コルチゾールの心理・生理的な指標による評価の可能性および、両指標間の関連性について、成人の被験者を対象に検討した。 1)大学生265名を対象に、身体的差異が大きく、戸惑いや困惑を覚えるのはどういう対象に対して、どういう場面状況においてかという設問を課した。その結果、上位項目として、車いすのひとへの対応、聴覚障がいのひとに対する対応、身体障がいのある子どもたちへの対応、視覚障がいのあるひとへの対応、知的障がいのある子どもたちへの対応が挙げられた。これに基づき、これら5つの対応に関して葛藤場面となる可能性のある状況から構成される提示課題(スライド)を作成した。 2)10名の被験者に1)で作成した提示課題をそれぞれ1分間凝視させた後、自己の対応判断を2分間口頭で述べさせた。凝視時及び回答時の両眼の眼球運動の測定は、頭部に装着した測定装置(TalkEye II)により行った。実験開始前、終了直後および実験終了5分後に唾液を採取し、唾液中のコルチゾール濃度について分析を行った。その結果,10名中4名において実験終了時にコルチゾール濃度が上昇したが、全体としては有意な変化は認められず、また唾液中コルチゾール濃度の変化と両眼眼球運動の分散度との間にも明確な関係は認められなかった。 唾液中コルチゾール濃度と眼球運動の分散度はともに、被験者の集中度・関心度・ストレス度をよく表すとされているが、今回の実験では提示課題に対して一定の有意な反応が認められず、両者間にも明確な関係が観察されなかったことから、まず、提示課題を再検討することが必要である。また、被験者個人のストレス反応性、統制力についての情報を収集・加味したうえで検討を進めていくことが重要であると思われる。
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