2009 Fiscal Year Annual Research Report
計画的行動理論を用いた運動の継続化における運動強度自己選択の有効性
Project/Area Number |
21650162
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斉藤 篤司 Kyushu University, 健康科学センター, 准教授 (90195975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90106047)
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Keywords | 運動継続要因 / 計画的行動理論 / 運動強度自己選択 / 心拍数度数分布 |
Research Abstract |
運動継続化の要因を説明する際、人の行動予測モデルである計画的行動理論(TPB)における「態度」「主観的規範」「行動の統制感」による説明が有効とされている。特に日本人の場合、主観的規範(他者の期待)が行動をよく説明するとされている。しかし、主観的規範を高めるだけでは行動意図を生起するが継続をもたらすには不十分であると考えた。これに対し、自己選択強度での運動は、「行動の統制感」が高め、結果として、行動意図および行動を生起する可能性が考えられる。我々は人が身体活動を行う際、何らかの基準をもとに、ある一定の強度を選択している可能性を心拍数の度数分布から得ている。この分布は正規分布を示し、中央値となる強度が「統制感」と関わり、この行動を強化することで運動の継続化が促されると考えた。 そこで、日常的に何らかの運動を行っている健常な大学院生10名を対象に1時間のランニングを行わせ、ランニング中の心拍数を1拍/分を階級とした度数分布を求めた。運度強度の自己選択に際し、走者のペースに合わせて、走行面のセンサーにより、スピードを自動的に変化させるトレッドミルを用いた。運動者は走行するだけで自己選択した走ペースで走行することとなり、より実走に近い走行をシミュレートできるものである。このトレッドミルの走行に慣れるために3回の練習走行を行った。さらに、1時間走の終了後、漸増負荷による最大酸素摂取量の測定と血中乳酸濃度が2、4mmolに相当する酸素摂取量および心拍数を測定した。 現在も実験は継続中であるが、1)すべての被験者の心拍数度数分布は一峰性の正規分布を示す、2)分布の尖度、歪度は被験者により異なる、3)分布の最頻値に相当する運動強度は乳酸性作業閾値に近似する者もいたが、一定の傾向は認められない、4)運動中の感情(feeling scale)は0に近く、被験者が苦痛や高揚感などを伴わない、といった仮説を裏付ける結果が得られつつある。
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