2010 Fiscal Year Annual Research Report
計画的行動理論を用いた運動の継続化における運動強度自己選択の有効性
Project/Area Number |
21650162
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斉藤 篤司 九州大学, 健康科学センター, 准教授 (90195975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90106047)
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Keywords | 自己選択ペース / ランニング / 気分 / 感情 / 心拍数 |
Research Abstract |
自己選択ペースでの運動中の感情は無感覚(ニュートラル)であり、運動を継続している人では様々な外的環境が変化する中でも内的環境を変化(生理的変化)させ、感情変化を小さく保ちながら運動を遂行できているのではないかと考え、本研究では外的環境の変化が小さい実験室においても自己選択ペースが可能な装置を用い、ランニング時の生理的・心理的変化を検討した。健常な男性6名および女性4名を対象に自己選択ペースによる1時間のランニングを行い、運動強度および気分、感情の測定を行った。本装置は走者のペースに合わせて、走行面のセンサーにより、スピードを自動的に変化させるもので、運動者は走行するだけで自己選択した走ペースで走行することとなり、実走に近い走行をシミュレートできる。走行中、被験者は時間も含め、一切の情報が提供されなかった。被験者個々の60分間の心拍数の標準偏差の平均値が8.1±2.9拍/分であったことから、およそ20拍/分の範囲内で心拍数が変動していたことが認められ、強度(速度)を変化させながら走行していることが示された。走行中、Feeling Scaleによる気分の値は0.5-1.2と良くも悪くもない気分で走行していることが認められた。また、走行中の感情は快感情において、時間要因に有意な主効果を示したが、走行15分および30分では快でも不快でもない状態を示し、45分および60分においても小さな変化にとどまった。また、リラックス感や不安感も開始前から有意な変化を示さなかった。したがって、自己選択ペースによるランニング中、被験者は生理的な運動強度としての心拍数あるいは走速度を変化させながら、感情をニュートラルに保ち走行していることが認められ、運動継続の要因の1つとして、生体内外の環境を変化させ、運動ができるという運動の統制感が関わる可能性が示唆された。
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