2009 Fiscal Year Annual Research Report
バウンドするボールの聴覚的空間定位:視覚ハンディキャップテニス選手を対象として
Project/Area Number |
21650163
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
樋口 貴広 Tokyo Metropolitan University, 大学院・人間健康科学研究科, 准教授 (30433171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 由美 首都大学東京, 大学院・人間健康科学研究科, 准教授 (80259142)
信太 奈美 首都大学東京, 大学院・人間健康科学研究科, 准教授 (90433185)
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Keywords | 聴覚 / 空間定位 / 障害者スポーツ / テニス / 知覚運動制御 / スポーツ熟練者 |
Research Abstract |
本研究では,人間の優れた空間知覚能力に関する新しい知見として,たった3回のバウンド音がもたらす聴覚情報だけでボールの軌道を予測して,ラケット正確に打ち返すというブラインドテニス選手のスキルに着目し,優れた空間定位(ボールの軌道を正確に予測・同定すること)に関する検討をおこなった.第1-2実験では,ブラインドテニスボールのバウンド位置に対する空間定位の正確性について検討した(実験担当者:樋口).ブラインドテニス熟練者,初心者,および晴眼者の3群が参加した.第1実験では2バウンド目にボールが落下した位置を右足のつま先で同定してもらった.その結果,熟練者・初心者ともに晴眼者よりも落下位置の定位が正確であったが,熟練者と初心者の間には有意差がなかった.よってこの能力をブラインドテニス経験に起因することはできなかった.しかし第2実験において,2バウンド後のボールをラケットで打ってもらった結果,熟練者は初心者よりも正確にラケットで捉えることができた.従って,ブラインドテニス選手が優れているのは,バウンドするボールに対して正確に動作をする知覚運動協応能力であることが示唆された.第3実験では,ブラインドテニスの経験が日常生活にも良い波及効果をもたらすかを検討するため,視覚障害者の聴覚空間における定位能力について検討した(実験担当者:池田・信太).ブラインドテニス経験のある視覚障害者13名に対して,対象者から50cmならびに3m離れた前方・後方・右側方・左側方の位置で電子音を鳴らし,音源位置の定位をしてもらった.その結果,50cm離れた位置では,前方・後方の音源定位の正答率が側方に比べて低く,3m離れた位置では位置による正答率の違いは認められなかった.また,個人差が大きかったことから,ブラインドテニス経験の関連については慎重な検討が必要と考えられた.
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Research Products
(5 results)