2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮時の筋細胞内の酸素輸送担体を介した酸素輸送量と細胞呼吸の新たな連関機序
Project/Area Number |
21650167
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増田 和実 Kanazawa University, 人間科学系, 教授 (50323283)
|
Keywords | 骨格筋 / ミオグロビン / ヘモグロビン / ミトコンドリア / 臓器灌流 / NIRS |
Research Abstract |
骨格筋の酸素供給機構とその規定因子については不明な点が多い。我々は、骨格筋内の酸素貯蔵体として知られているミオグロビン(Mb)に注目して、Mbに結合した酸素の利用動態を検出するシステムを構築した。実験の結果、Mbに結合した酸素は収縮開始とともに解離し、それに付随して、細胞内の酸素分圧が急進的に低下することが明らかとなった。このようなMbを介した酸素供給機構が、身体活動レベルによってどのように変化するのかを明らかにすべく、本年度は不活動モデルの本実験を行った。Cast材で下腿を3週間固定したところ、筋重量、ミトコンドリア容量および筋の最高酸素消費量はそれぞれ約45%、約30%、約20%低下した。この時、収縮開始後に見られるMbから解放される酸素流量は少なくなっていた。さらに、収縮時には低下するはずの細胞内Mb酸素飽和度が、不活動後には本来のレベルまで低下しなかった。つまり、このことは、細胞内外の酸素勾配が不活動後に縮小することを示唆しており、もしそうだとすれば、細胞内への酸素拡散を制限する可能性があることを意味している。なお、不活動によって(単位筋重量当たりで見た)筋の酸素摂取量はあまり変化しなかった。しかしながら、一定張力当たりで見た酸素摂取量は、不活動後に高くなっていた。このことは、一定仕事あたりの酸素消費コストが不活動後に悪化していることを示唆している。現在、ミトコンドリアの脱共役の可能性についてもう少し検証すべく解析を進めている。
|
Research Products
(10 results)