2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境カビに由来する新しいハザード"ファンガル・ダスト"の存在と役割
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21650192
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
久米田 裕子 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 課長 (10250317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (00201856)
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Keywords | カビ / カビ細胞片' / 微粒子 / 住環境 / アレルギー |
Research Abstract |
現在まで、ヒトに対するカビの曝露においては、室内に浮遊するカビ胞子数が測定され、アレルギーを含む呼吸器系症状との関連性が調べられてきた。しかし、そのカビ胞子(2~7μm)よりもさらに小さいカビ細胞片(<0.5μm)の存在については、全く考慮に入れられていない。そこで、私達はカビ胞子よりもさらに小さいカビ細胞片を"Fungal dust(FD)"と命名し、住環境における新しいハザードとして研究を実施した。 本年度は、HEPAフィルター、エアーポンプ、エアロゾル化チャンバー、アンダーセンエアーサンプラー、パーティクルカウンターを組み立てた装置で、その存在を捕捉した。ポンプの流速は約27L/分で、パーティクルカウンターの流速は2.83L/分であった。カビのサンプルは、室内環境中で検出頻度が高いPenicillium chrysogenumと、Aspergillus versicolorを28℃,2ヶ月間培養した集落を使用した。1平板につき10分間、パーティクルカンウンターの測定とアンダーセンエアーサンプラーの補足を行い、1菌種5枚ずつ実施した。パーティクルカンウンターの平均測定値は、P.chrysogenumで、0.3-0.5μm:553個,0.5-1.0μm:106個,1.0-3.0μm:5292個,3.0-5.0μm:5996個,5.0-10.0μm:2693個,10.0μm<:141個であり、1.0-5.0μmで測定されるカビの胞子数と比較し、<0.5μmの粒子数は少なかった。A.versicolorでは、0.3-0.5μm:=54個,0.5-1.0μm:60個,1.0-3.0μm:560個,3.0-5.0μm:967個,5.0-10.0μm:325個,10.0μm<:11個であり、ペニシリウムと同様の傾向であった。そこで、エアーポンプを止め、パーティクルカンウンターだけで10秒間ずつ10秒間隔で測定すると、0.3-0.5μmの粒子数が平均221個、85個、30個、14個、5個、4個(P.chrysogenum)、平均769個、296個、138個、59個、35個、13個、6個(A.versicolor)となり、最初の10秒間で最も多くの微粒子が浮遊することがわかった。これは、カビが生えた押し入れや部屋などでは、扉を開けた瞬間、小さいカビ細胞片(FD)が一挙に飛散する可能性を示唆している。今回、アンダーセンエアーサンプラーで捕捉したFDがカビ細胞片であることを実証するため、(1,3)-Beta-D-Glucan Detection Reagent Kit(GLUCATELL, CAPE COD)を使用し、グルカンの検出を試みた。方法はエンドポイント法を使用し、5~40pgの検量線の相関係数は0.996であった。しかし、アンダーセンエアーサンプラーの粒子径別に補足した9枚のフィルターすべてからグルカンが検出され、陰性対象のフィルターからもグルカンが検出されたため、実験は失敗に終わった。今後、使用するメンブランフィルターを検討する必要がある。
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Research Products
(7 results)