2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能性食品による消化管因子分泌調節機構に関する研究
Project/Area Number |
21650195
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山田 祐一郎 Akita University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60283610)
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Keywords | 栄養学 / 食品 / 糖尿病 / インクレチン / αグルコシダーゼ |
Research Abstract |
GIPやGLP-1といった消化管ホルモンは、食事摂取とともに分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進する。小腸のK細胞からはGIP、小腸のL細胞からはGLP-1が分泌されるが、それらの分泌が調節される機構はほとんどわかっていない。研究代表者らは2型糖尿病患者ではGIP分泌が食事摂取に伴い速やかに上昇する一方、GLP-1分泌は緩やか、かつ長く上昇すること、αグルコシダーゼ阻害薬を投与することで、GIP分泌は著明に低下するがGLP-1分泌はとくに食後1-3時間と言った後期相で促進されることを示し、糖質の吸収がインクレチンの分泌に重要であることを示している。今回、胃の全摘術を受けた後にインスリノーマが発症した症例において、インクレチン分泌を検討した。その結果、GIP分泌の頂値は通常と同様だがAUCは減少、GLP-1分泌は頂値が増加することを確認した。さらに、αグルコシダーゼ阻害薬の投与で、GIPならびにGLP-1分泌とも低下することを示した。このように、GIP産生細胞は上部から中部の小腸、GLP-1産生細胞は中部から下部の小腸に存在し、糖質の吸収がインクレチン分泌の強いトリガーになっていることを明らかにするとともに、αグルコシダーゼ阻害薬はインクレチン分泌の様式を変える作用があることを示した。この作用は、αグルコシダーゼ阻害薬による臨床的な効果である体重減少に合致するものであり、αグルコシダーゼ活性を有する種々の食品との関連性を示すことが重要であると考えられた。
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