2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650198
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
平石 さゆり Kagawa Nutrition University, 栄養科学研究所, 助教 (20150659)
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Keywords | 栄養学 / 癌 / 概日リズム / 食生活 |
Research Abstract |
食餌摂取のタイミングによって末梢組織の概日リズムが支配されていることが明らかにされつつある。本研究はこの食事による概日リズムの変化が、癌の転移や進展を抑制,助長するかを明らかとすることを目的とした。 方法として、マウスが通常行動、摂食する暗期に摂食させた群と、休息期(明期)に摂食させて概日リズムを崩した群で、癌の転移や進展に相違が生じるかを検討した。 1. 癌転移実験 7-8週齢の野生型マウス、あるいは、概日リズムが正常でないclock変異型マウスを各々2群に分け、食餌摂取時間帯を以下の2つとした。 a)自由摂食 b)明期摂食(マウスが休息する明るい時間帯、午前11:00~午後16:00に給餌する) この2種類の摂食時間で通常使用される飼育繁殖用の餌(MF,オリエンタル酵母社)を6週間給餌した。その後、マウスメラノーマ細胞B16BL6を尾静脈内投与し、投与14日後に肺への転移巣を観察した。 その結果、明期に給餌して食餌摂取のタイミングを変化させた野生型マウスは、自由摂食群に比べてメラノーマ細胞の肺への転移巣が増大した。さらに、自由摂食させたClock変異型マウスでは、野生型マウスの自由摂食群より癌の転移が亢進したが、このclock変異型マウスでは昼夜逆転させた給餌でも自由摂食群以上に癌の転移が亢進することはなかった。 以上より、食事による概日リズムの撹乱が癌の進展を助長させることが考えちれた。 2. 発癌実験 生後 15日目のマウスをコントロール群と癌誘発群に分け、癌誘発群はDiethylnitrosamine(20mg/kg)を腹腔内投与して、肝癌を誘発させた。コントロール群には同容量の生理食塩水を腹腔内投与した。投与5週後から、上記a)、b)の条件で給餌を行い、投与後32週で解剖し、肝臓を摘出して発癌の状態を観察する。本実験は現在32週間の給餌実験中である。
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