2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性食品、ブロッコリースプラウトによる動脈硬化予防のための臨床介入研究
Project/Area Number |
21650199
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
谷中 昭典 東京理科大学, 東京理科大学薬学部, 教授 (80272201)
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Keywords | スルフォラファン / ブロッコリースプラウト / 動脈硬化 / 高感度CRP / 酸化ストレス / 炎症 |
Research Abstract |
【背景・目的】ブロッコリースプラウト(BS)に含まれるスルフォラファン(SFN)は、nrf2を介して抗酸化酵素群を誘導し酸化ストレスを軽減、Nf-kBを抑制することにより炎症を軽減させる。炎症モデル動物においてSFNが炎症反応を抑制することが報告されており、SFNは慢性炎症に続発する疾患の治療に有用である可能性が示唆される。一方、最近、動脈硬化の本態は動脈の血管内皮細胞における炎症であることが指摘され、内皮細胞の炎症を抑制する物質が動脈硬化の治療薬となる可能性が指摘されている。以上の背景に基づき、我々は、SFNを豊富に含むBSを長期間摂取することにより、血管内皮の炎症を軽減させ、動脈硬化の進行を予防するのではないかと考え、軽症の脂質異常症患者にBSを摂取させる臨床試験を行い、血管内皮の炎症の指標に及ぼす影響を以下の方法で検討した。【方法】本研究内容について十分に説明し文書にて同意の得られた軽症の脂質異常症を有しながら薬物治療を受けていない患者20名に対してSFNを豊富に含むBS50g/day、あるいはプラセーボとしてSFNを全く含まないアルファルファスプラウト(AS)50g/dayを1日おきに2ヶ月間にわたり摂食させる臨床試験を行い、両群における血中の脂質プロファイル(LDL. HDL, L/H比、TG)、TBARS(酸化ストレスマーカー)、及び高感度CRP(hsCRP)の変化を検討した。本臨床試験は、クロスオーバー法を用いて各人について2回(BS, AS各1回ずつ)投与を行った。【結果】BS投与時において、投与2ヶ月後に、L/H比、T-BARS、及びhsCRPの低下が認められた。以上の変化は、BS投与中止1ヶ月後には前値に服した。AS投与時には、これらの変化は認められなかった。【考察・結論】BS中に含まれるSFNは、動脈硬化症予備軍と考えられる軽度の脂質異常症患者において、酸化ストレスを軽減し、血管内皮細胞の炎症を抑制することにより、動脈硬化の進行を予防する可能性が示唆された。
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Research Products
(12 results)